障害者雇用において、採用活動を進める中で「今度採用する方は自社の雇用率において何人分としてカウントできるのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。
障害者雇用の算定ルールは、障害の種類や等級、労働時間によって細かく変動します。特に2024年からは新たな算定特例も追加されており、正しいルールを把握しておかなければ正確な雇用状況を申告できません。
この記事では、雇用される障害のある方の数え方や、特例を踏まえたカウント方法を一覧表つきで解説します。また、カウント数にとらわれた採用が招くミスマッチのリスクと、その解決策についても提示するので、ぜひ参考にしてください。
・カウント数は障害の種類・等級・労働時間によって変動する
・重症度によるダブルカウントや、週10〜20時間勤務の特例などがある
・軽度障害は特例の対象外となるので注意
障害者雇用のカウントにおける基本の考え方
障害者雇用の法定雇用率を満たしているかを計算する際、基本となるのは自社の従業員数(分母)と、雇用している障害者の数(分子)です。ここでは、採用する障害者側である分子をどう数えるかという基本の考え方を整理します。
雇用率のカウント対象となるのは障害者手帳の所持者のみ
障害者雇用の算定対象として認められるには、原則として国が発行する障害者手帳を所持している必要があります。
| 手帳の種類 | 対象者・交付の条件 |
|---|---|
| 身体障害者手帳 | 身体機能に一定の障害がある方に交付 |
| 療育手帳 | 知的障害があると判定された方に交付 (自治体により名称が異なる場合あり) |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 精神疾患により日常生活に制限がある方に交付 |
障害の種類と労働時間で0.5~2人に変動する
対象者を採用したからといって、一律で全員が1人としてカウントされるわけではありません。
- 障害の種類と重症度によってカウント数が決まる
- 本人の所定労働時間(週30時間以上、週20〜30時間など)によってカウント数が変動
これらが組み合わさることで、この人は0.5人分、この人は2人分というように最終的な算定結果が決まる仕組みです。
この記事では、障害のある方の数え方に特化して解説しています。 自社の従業員数が何人になったら雇用義務が発生するのか、といった「分母」の考え方や、特定の業種で分母を減らせる除外率などの会社全体の計算式については、以下の関連記事で詳しく解説しています。自社の雇用義務人数を正確に知りたい方は以下をご確認ください。
【一覧表】障害種別・労働時間別の具体的なカウント方法
ここからは、実務で最も直面する「誰が何人分になるのか」という具体的な算定ルールについて、国が定める特例措置を含めて解説します。
複雑なカウントルールを、人事担当者が一目で確認できるよう一覧表に整理しました。詳細は以下で解説していきます。
▼障害種別・労働時間別のカウント数早見表
| 障害の種類と程度 | 週30時間以上 | 週20時間〜30時間未満 | 週10時間〜20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体・知的障害(重度) | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 身体・知的障害(重度以外) | 1人 | 0.5人 | 対象外 |
| 精神障害 | 1人 | 0.5人(※特例対象者は1人) | 0.5人 |
身体・知的障害のある方は重症度によりダブルカウントがある
身体障害と知的障害のある方は、障害の程度が重度であれば2倍の人数としてダブルカウントできます。ただし、ダブルカウントのもととなる人数は勤務時間によって異なるので注意しましょう。
| 障害の種類と程度 | 週30時間以上 | 週20時間〜30時間未満 | 週10時間〜20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体・知的障害(重度) | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 身体・知的障害(重度以外) | 1人 | 0.5人 | 対象外 |
- 基本ルール
週30時間以上働く場合は1人としてカウントし、週20〜30時間の短時間労働の場合は0.5人として換算します。 - 重症度でダブルカウント
重度の身体障害、または重度の知的障害がある方が週30時間以上働く場合、特例として1人を2人分として算定できます。 - 重度の方の短時間労働
重度の方が週20〜30時間の短時間で働く場合は、1人分としてカウントします。
精神障害のある方のカウント方法と算定特例
精神障害のある方については、職場定着を促進するため、勤務時間について独自の基準が設定されています。
| 障害の種類と程度 | 週30時間以上 | 週20時間〜30時間未満 | 週10時間〜20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 精神障害 | 1人 | 0.5人(※特例対象者は1人) | 0.5人 |
- 基本ルール
週30時間以上働く場合は1人、週20〜30時間の場合は0.5人として換算します。 - 精神障害の算定特例
一定の条件(新規採用から3年以内、または手帳取得から3年以内など)を満たす精神障害者が週20〜30時間の短時間で働く場合、本来は0.5人となるところを1人としてカウントできます。
人数カウントや算定に関するよくある質問
ルールの基本を理解していても、実際の採用現場ではイレギュラーな事象が発生します。ここでは人事担当者が実務で直面しやすい疑問に一問一答形式で回答します。
Q. 週10〜20時間の特例はすべての障害のある方が対象ですか?
A. いいえ、すべての障害のある方が対象になるわけではありません。
早見表の通り、この特例で0.5人とカウントできるのは、重度の身体・知的障害のある方、および精神障害のある方に限定されています。軽度や中度の身体・知的障害のある方を週10〜20時間で採用しても算定対象外となるため、採用要件の確認には十分な注意が必要です。
Q. 在職中の社員が途中で手帳を取得した場合、いつからカウントできますか?
A. 企業が手帳の交付や取得の事実を確認できた日から算定対象に含めることができます。
もともと一般枠で雇用していた社員が、在職中に障害者手帳を取得したケースですね。本人が手帳を取得し、企業側へその写しを提出するなどして事実を確認できた時点から、労働時間や障害種別に応じたカウントが可能になります。
Q. 精神障害のある方の算定特例は再雇用の場合でも適用されますか?
A. 原則として対象外となり、通常の0.5人カウントに戻る例外ルールがあります。
精神障害のある方が週20〜30時間で働く場合、特例で1カウントとして扱えますが、退職後3年以内に同じ事業主に再雇用された場合はこの特例の対象外となります。過去に自社で働いていた精神障害のある方を再雇用する際は、算定見込みがずれないよう注意が必要です。
雇用人数のカウント間違いは採用計画に影響大
算定ルールの追加や特例は、企業にとって法定雇用率を達成しやすくなるメリットがある反面、単なるルールの辞書的な理解で終わらせてしまうと現場で思わぬトラブルを招きます。
週10〜20時間の算定追加で業務の切り出しが柔軟に
週10〜20時間の勤務がカウント可能になったことで、企業には大きな変化が生まれています。
- フルタイムでは業務創出が難しかったが、1日2時間程度のスポット的な業務を切り出せる
- 体調に不安があっても、短時間から徐々に労働時間を延ばす柔軟なマネジメントが可能に
数合わせを優先した採用が引き起こすミスマッチ
一方で、算定ルールを理解した人事が陥りやすいのが、カウント数を優先して採用活動を進めてしまう落とし穴です。
ダブルカウントになるからという理由だけで重度の障害のある方を積極的に採用したものの、現場に受け入れのノウハウがなく、業務のミスマッチからすぐに離職してしまうケースが後を絶ちません。
算定上有利であることと、自社の現場で活躍できるかどうかは全く別の問題です。数合わせを優先した採用は、結果的に歩留まりを悪化させ、現場の疲弊を招くだけに終わってしまいます。
複雑な算定ルールに対応し確実な採用と定着を実現する選択肢
条件が細分化されたルールの中で、自社の要件に合う人材を見つけ出し、現場に定着させるのは容易なことではありません。
採用要件と現場の業務内容をすり合わせる実務ハードル
法定雇用率を満たすためには、人事が設定した採用要件であるカウント数と、現場が求めるスキルや業務内容を正確にすり合わせる必要があります。
しかし、他の業務を兼任している人事担当者が独力でこれを調整し、適切な人材を見極めて入社後のフォローまで行うのは、工数と専門性の観点から非常に高いハードルとなります。
外部の専門機関やエージェントを頼るのも有効
複雑な要件をクリアしながらミスマッチを防ぐためには、無理にすべてを自社で抱え込まず、外部の専門的なエージェントを活用することが現実的な解決策となります。
プロの知見を取り入れることで、人事担当者の負担を大幅に削減しつつ、単なるカウント数にとらわれない本質的なマッチングを実現できます。
採用から定着までをカバーするワンストップ伴走支援
カウント数ありきではない、本人のスキルや適性を重視した確実な採用と定着を叶える選択肢として「かべなし」の伴走支援が有効です。かべなしでは、以下の3ステップで貴社の課題を解決します。
- ステップ1・体制構築
現場の業務をヒアリングし、本人の特性や労働時間とミスマッチを起こさない業務の切り出しと環境整備をご提案します。 - ステップ2・採用支援
障害の重さだけでなく、業務遂行に必要なスキルを重視した求職者をご紹介し、面接設定から同行まで配慮事項のすり合わせを代行します。 - ステップ3・定着支援
入社後も専門スタッフが定期面談を実施し、本人と現場の間に入ってマネジメントや定着課題の解決に継続して伴走します。
自社の求めるカウント要件と現場の受け入れ体制にギャップを感じている、実務負担を減らして定着させたいとお悩みのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。御社の本業での活躍を見据えた、持続可能な雇用体制をご提案いたします。
就労移行支援事業所の管理者経験者監修のもと、正しい法令知識と採用・定着などの実務に役立つ情報を発信中です。企業と障害のある方をつなぐ立ち位置で、双方がWin-Winとなる情報提供を心がけています。