【2026年最新】法定雇用率の正しい計算方法とは? 引き上げスケジュールと達成までの実務を解説
法改正による対象企業範囲の拡大や従業員の増加に伴い、自社の雇用義務人数を正確に把握したいと考える人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、自社の雇用義務人数を把握するための法定雇用率の計算手順と、2024年・2026年の段階的な引き上げスケジュールについて解説します。
あわせて、単なる数値計算にとどまらず、算出した人数の採用・定着において発生する実務上のハードルとその解決策も提示します。
・法定雇用率の正しい計算式と、分母・分子のカウントルール
・2026年に向けた法定雇用率の引き上げスケジュール
・除外率制度の計算方法と今後の縮小方針
・採用・定着において人事が直面する「選考途中での離脱」の実態と対策
法定雇用率とは?現状と今後の推移
・法定雇用率は障害者雇用促進法に基づく企業の義務
・2.5%の法定雇用率は、2026年7月には2.7%へ段階的引き上げが行われる
・未達成の場合は納付金の徴収や行政指導が行われるリスクも
障害者雇用促進法が定める企業の義務とは
企業には、一定割合以上の障害のある方を雇用する義務があります。これは障害者雇用促進法において定められたルールです。
- 目的
障害のある方の職業の安定と、社会参加の促進 - 義務の対象
一定数以上の「常用労働者」を雇用するすべての事業主 - 報告義務
毎年6月1日時点での雇用状況をハローワークへ報告(ロクイチ報告)
企業の人事担当者は、自社の状況を正しく把握し、コンプライアンス要件として計画的な採用体制を構築する必要があります。
2024年・2026年の段階的な引き上げスケジュール
民間企業における法定雇用率は、以下のタイムラインで段階的に引き上げられます。
- 2023年まで
2.3%(対象企業:従業員数43.5人以上) - 2024年4月〜
2.5% (対象企業:従業員数40.0人以上) - 2026年7月〜
2.7% (対象企業:従業員数37.5人以上)
法改正に伴い、これまで義務の対象外であった企業も新たに算定対象に含まれるケースが増加しています。自社の労働者数の変動と照らし合わせ、早期から必要な人数をシミュレーションすることが実務上求められます。
納付金や行政指導など未達成時に生じるリスクとは
法定雇用率を下回った場合、企業には以下のようなコンプライアンス上のリスクが生じます。
- 障害者雇用納付金の徴収
常用労働者数100人超の企業において、不足1人につき月額50,000円が徴収されます。 - 行政指導(雇入れ計画作成命令)
ハローワークから状況改善のための計画作成が命じられます。 - 企業名の公表
再三の指導にもかかわらず改善が見られない場合、企業名が公表される可能性があります。
これらは企業にとって経営上のリスクとなるため、適法な体制構築と採用計画の実行が必要です。
義務人数を把握する法定雇用率の計算手順
・雇用義務人数の基本は「常用労働者数 × 法定雇用率」
・週20時間以上30時間未満のパートタイム労働者は「0.5人」として分母に算定
・算出された人数の小数点以下は「切り捨て」
常用労働者数から割り出す基本的な計算式とは
自社で雇用すべき障害のある方の人数(法定雇用障害者数)は、以下の計算式で算出します。
計算式
常用労働者数 × 法定雇用率 = 雇用義務人数
例えば、常用労働者数が200人の企業で法定雇用率が2.5%の場合、「200人 × 2.5% = 5人」となり、5名の雇用義務発生します。
週20〜30時間未満は0.5人とする算出ルール
計算式の分母となる「常用労働者数」は、単純な従業員の頭数ではなく、労働時間によってカウント方法が異なります。1年を超えて雇用される見込みがある労働者が対象です。
- 週の所定労働時間が30時間以上の労働者
1人につき「 1人 」としてカウント - 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者
1人につき「 0.5人 」としてカウント - 週の所定労働時間が20時間未満の労働者
算定の対象外
パートタイム労働者を多く抱える企業は、この「0.5人」換算を正確に集計する必要があります。
小数点以下は切り捨てとなる端数処理のルール
上記の計算式を用いて算出した結果、小数点以下の端数が出た場合の処理ルールは明確に定められています。
- 処理方法
小数点以下は 切り捨て - 計算例
常用労働者数150人 × 2.5% = 3.75人 - 結論
0.75を切り捨て、この企業の雇用義務人数は「 3人 」となります。
端数の繰り上げは不要であるため、このルールを把握しておくことで過剰な目標設定を防ぐことが可能です。
障害の種類と労働時間別のカウント方法
・身体障害・知的障害は、障害の程度と労働時間によりカウント数が変動
・重度の障害のある方は、1人で「2人分」として算定可能
・2024年より、週10時間以上20時間未満の短時間労働者も算定対象に追加
障害種別・労働時間別のカウント早見表
実際に雇用している障害のある方の人数(分子)は、障害の種類や程度、週の所定労働時間によってカウント方法が変わります。2024年4月の改定内容を含む基本ルールは以下の表の通りです。
| 障害の種類・程度 | 週30時間以上(フルタイム) | 週20時間以上〜30時間未満 | 週10時間以上〜20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体・知的障害 | 1人 | 0.5人 | - |
| 身体・知的(重度) | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 精神障害 | 1人 | 0.5人(※特例で1人) | 0.5人 |
- 重度のダブルカウント
重度の身体・知的障害のある方をフルタイムで雇用した場合、法定雇用率上は1人で「2人分」として算定されます。 - 精神障害の特例
精神障害のある方で、新規雇用から3年以内等の要件を満たす場合は、週20時間以上30時間未満であっても特例として「1人」にカウントできます。 - 短時間労働の算定追加
多様な働き方の推進により、週10時間以上20時間未満の短時間労働者(重度身体・重度知的・精神障害)も、1人につき「0.5人」として算定可能になりました。これにより、長時間の勤務が難しい方への業務の切り出しが実務上組みやすくなっています。
除外率制度の計算と今後の縮小方針
・雇用率適用が困難な業種には除外率制度が存在する
・2025年4月から除外率が一律10ポイント引き下げられ、雇用義務人数が増加する
除外率制度とは?対象業種と控除計算
計算式
常用労働者数 -(常用労働者数 × 除外率) = 算定基礎となる労働者数
一律10ポイント減となる2025年4月からの引き下げと影響
除外率制度はノーマライゼーションの観点から将来的な廃止が決定しており、2025年4月1日より、各設定業種の除外率が一律10ポイント引き下げられました。
【主な対象業種と引き下げ後の除外率(2025年4月以降)】
| 除外率(引下げ後) | 主な対象業種 |
|---|---|
| 5% | 非鉄金属第一次製錬・精製業、貨物運送取扱業 |
| 10% | 建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業、郵便業 |
| 15% | 港湾運送業、警備業 |
| 20% | 鉄道業、医療業、高等教育機関、介護施設 |
| 30% | 児童福祉事業、金属鉱業 |
除外率が下がることで控除される人数が減り、結果として計算の分母が大きくなります。対象業種の企業では雇用義務人数が増加する可能性があるため、再計算と早急な体制整備が必要です。
母集団形成から定着まで、各フェーズの障害者雇用の課題
自社が障害者雇用促進法の対象だった場合、リスクを避けるためにもすぐ採用に向けて動き出したいもの。ですが、社内の環境整備から採用を行うまで、また採用から定着にはさまざまな課題があります。
・スキル×属性のミスマッチで母集団形成が難航
・精神障害のある方の定着率は1年で半数を下回るデータも
・受け入れ体制が未整備な状態では、ミスマッチと早期離職を招く
選考途中の離脱とミスマッチの課題
法定雇用率に基づく人数計算が完了しても、採用を完了させるまでのプロセスには以下のようなハードルが存在します。
- 母集団形成の難航
自社の求めるスキルと合致する人材からの応募集まらない。 - 業務の切り出し不足
現場部門に依頼できる業務のストックがなく、配属先が決まらない。 - 選考プロセスにおける離脱
面接から入社に至るまでの各フェーズで辞退や不採用が重なり、目標人数の確保が遅延。
これらの要因により、人事担当者が兼任で採用活動を進める場合、工数に見合った成果を得ることが難しくなります。
精神障害は1年で約半数となる定着率の実態
採用できたとしても、「定着」にはさらなる課題が伴います。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の調査データによる、障害特性別の就職後1年時点の定着率は以下の通りです。
| 障害の種別 | 就業1年後の定着率 |
|---|---|
| 身体障害 | 60.8% |
| 知的障害 | 68.0% |
| 精神障害 | 49.3% |
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)|障害者の就業状況等に関する調査研究
特に、精神障害のある方の定着率は1年で約半数に低下しています。体調の波やコミュニケーション面での配慮など、入社後の継続的なフォロー体制の構築が不可欠です。
障害者雇用を成功させる、エージェント活用術
・社内で独力で業務切り出しから定着支援までの全てを回すのは難易度が高い
・専門知識と人的リソースの不足を補うには、外部の伴走者が有用
・体制構築から採用、定着までを「かべなし」がワンストップで支援
実務負担を軽減し定着率を高める「かべなし」の伴走支援
障害者雇用の体制構築から定着までを包括的に支援するサービス「かべなし」は、単なる人材紹介ではなく、以下の3ステップで企業様の実務をワンストップで支援します。
- 体制構築支援:
貴社の現場に入り込み、ノンコア業務の洗い出しとマニュアル化を代行します。「任せる仕事がない」という最初の課題の解消に尽力します。 - 採用マッチング:
切り出した業務を遂行できる「スキル」や「適性」を第一に考えたマッチングを行い、現場の即戦力となる人材をご紹介します。 - 定着支援:
入社後も専門スタッフが定期的に介入し、本人と現場の間に立ってコミュニケーションのすれ違いを解消します。
障害者雇用は、決して「法律への義務対応」というコストではありません。正しい手順で進めれば、組織の生産性を上げる投資となります。
「うちの会社で何ができるかわからない」「現場に負担をかけたくない」とお悩みの人事担当者様は、ぜひ一度「かべなし」にご相談ください。貴社の現状に合わせたプランをご提案いたします。
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障害者雇用に関するQ&A
Q. 雇用義務人数の計算においてパートタイム労働者も分母に含まれますか?
A. はい、含まれます。1年を超えて雇用される見込みがあり、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者は、1人につき0.5人として常用労働者数にカウントして計算を行います。
Q. 障害のある方を雇用できなかった場合すぐに罰則が科されますか?
A. 即座に罰金などの刑事罰が科されるわけではありません。ただし、常用労働者数100人超の企業には不足1人につき月額5万円の障害者雇用納付金が徴収されます。また、状況に改善が見られない場合はハローワークからの行政指導や、最終的には企業名公表のリスクが存在します。
就労移行支援事業所の管理者経験者監修のもと、正しい法令知識と採用・定着などの実務に役立つ情報を発信中です。企業と障害のある方をつなぐ立ち位置で、双方がWin-Winとなる情報提供を心がけています。