かべなし 法人向け障害者雇用
支援サービス
障害のある方向け
就職支援サービス
お急ぎの方はお電話をご利用ください
お電話でも随時受付中
0120-407-204 通話無料 通話無料|平日9:00〜18:00 平日9:00〜18:00(年末年始・GWを除く)
  1. トップ
  2. 導入事例
  3. 「可能性に賭ける」採用から抜け出す。定着率85%の選考設計とは

「可能性に賭ける」採用から抜け出す。定着率85%の選考設計とは

株式会社エス・エム・エス 様

業種:人材総合サービス事業 従業員数:1,000人以上
「可能性に賭ける」採用から抜け出す。定着率85%の選考設計とは

エス・エム・エスの障害者雇用組織「シェアードサービスグループ」は、現在障害者手帳を持つ社員85名と支援スタッフ9名が所属し、3機能17チームで400種類を超える業務を担っています(2026年4月時点)。

その採用チャネルのひとつが、法人向け障害者雇用支援サービス「かべなし求人ナビ」です。これまでに14名が入社し、今も11名が働き続けています。

シェアードサービスグループ(以下シェアード)の取り組みについて、グループ責任者の佐々木一哉と、採用からオンボーディング・定着・育成までを統括する馬場拓弥に、話を聞きました。

■ お話を伺った方

佐々木 一哉 株式会社エス・エム・エス シェアード推進部 シェアードサービスグループ
馬場 拓弥 シェアードサービスグループ 基盤構築

雇用率に追われた時期。「可能性に賭ける」採用から抜け出すまで

かべなし:エス・エム・エスのシェアードサービスグループについて、はじめての方向けにご紹介いただけますか。

佐々木:もちろんです。シェアードが本格的に歩み始めたのは、2020年。農園型サービスで法定雇用率に対応していた状態から、ノンコア業務の内製化をミッションとする社内組織として立ち上がりました。

ノンコア業務の受け皿としての組織拡大が広がる一方、雇用率の集計時期までに採用しようとしてしまい『この方は要件をクリアしているとは言いがたいけれど、可能性に賭けよう』という採用活動をせざるを得ない時期がありました。

かべなし:採用の数を追うほど、入社後の立ち上がりに時間がかかり、現場の負荷が増えていく。どこかで悪循環を断たなければならなかったのですね。

佐々木:はい、従来型の面接だけでは、認知的な思考力や実務適性はほとんど見えません。選考設計そのものをアップデートしないといけない、という思いがありました。

かべなし求人ナビ経由で14名が入社、定着率は85%

かべなし:これまで「かべなし」経由で入社された方は、14名いらっしゃるそうですね。

馬場:うち13名がシェアード所属で、1名はシェアードサービスグループ以外の部署に直接配属されています。シェアードの採用者数全体に占める割合は、およそ15%ほどでしょうか。

佐々木:シェアード所属の13名を母数にすると、現在の定着率は85%です。

かべなし:「かべなし」経由かどうかに関わらず、シェアードで働く障害者雇用のメンバーにはどういった障害・特性をお持ちの方がいるのでしょうか?

佐々木:属性の内訳は、気分障害のある方が約8割、発達障害のある方が約2割。就労経験のない方も2〜3名入社しています。年齢は20代前半から40代まで、幅広いですね。

馬場:選考基準に障害種別は入っていませんが、マッチした方が、たまたまそういう分布になった状態ですね。

「かべなし」経由の人材は「採用率の高さ」が特徴的

かべなし:「かべなし」からは、かなりの人数を紹介させていただいているように思います。その中で見えてきた特徴はありますか?

馬場:まず紹介ペースでいうと、採用活動をしている期間はほぼ毎日紹介してもらっていて。具体的な数でいうと、年間約1,000名以上紹介されたこともありました。2024年度は約500名でした。

紹介人数が少なくなったのは、母集団が小さくなったからではなく、紹介される方の要件を絞り込んでエージェント側に伝えた結果です。

かべなし:採用基準を見直されたのですね。その中で見えてきた「かべなし」経由人材の特徴はありますか?

馬場:「かべなし」経由の方は、他エージェント経由に比べて書類選考通過率は低いのですが、面接後の採用率は一番高い点でしょうか。

書類選考通過率の低さは、幅広い人材を紹介してもらっている結果と捉えているのであまり気にしていません。その後の採用率の方が大切ですから。書類通過率だけでエージェントを評価すると、判断を誤ると思っています。

かべなし:紹介した方と面接で実際にお会いした際の印象はいかがですか?

馬場:「ここで働きたい」という思いをご自身の言葉で語ってくださる方、志望動機をきちんと準備してくる方が多いです。

かべなし:ありがとうございます。エージェントの対応についてもお聞かせください。

佐々木:ポジティブな点だけでなく、懸念点や課題も連携してくれる方が多い印象です。こちらが伝えた課題が、次の面接までに修正されていることもありますね。

見ているのは「自己理解」ひとつ。面接で必ず聞く2つの質問

かべなし:紹介した方の選考で、最も重視している点についてお聞かせください。

佐々木:書類の段階で見ているのは、自己対処の方法が言語化されているかどうか。短期離職の履歴があっても、そこは考慮に入りません。

馬場:なぜそうなったのかと、今はどう対処しているのかが整理できている方には、必ずお会いします。

「こういう配慮があれば活躍できます」「活躍するためにこういう配慮が欲しいです」と整理できている方は、面接でもきちんと思考ができると感じます。

かべなし:自身に何が必要かわかっている方、ということですね。そんな方に出会うために、面接で必ず聞く質問があれば教えてください。

馬場:ひとつ目は「今の状態で当時に戻ったとして、過去職場で起こった問題にどう対処しますか?」ですね。過去の説明と、自己対処の説明に一貫性があるかどうかを見ています。ここがずれる方は、自己理解が追いついていないことが多いです。

かべなし:なるほど、ではもうひとつは?

馬場:「不調のとき、誰に相談していますか」ですね。不調を誰にどう言えるか、自分から発信できるかどうかの確認として質問しています。

佐々木:本人がどんな状態かは、周囲から正確には分かりません。だから『察してほしい』では、こちらが仕組みとして用意しているフォローが働きません。逆に言えば、発信さえあれば介入できる体制はあります。

かべなし:就労経験のない方にはどう深掘りしますか?

馬場:基本的には変わりませんね。就労経験のない方には、学生時代の話に同じ軸を当てます。対人関係の不和のようなエピソードが出てくるため、そこでどう対処したのか、今ならどうするのかを聞いていきます。

「自社では成立しない要望」はお互いのためにお断りする

かべなし:他社様では、書類選考の段階でお断りするケースとして「過剰な配慮を求められると困る」という視点で検討される会社様もいらっしゃいますが、シェアードでもそういったことはありますか?

馬場:例えば「指示はすべてテキストでください」「1時間ごとに15分の休憩を必須にしてほしい」といった要望は、実際にうちの勤務ルールや実務として成立させられないためお断りしたことがあります。ただ、うちでは難しいだけで、その配慮が不当だとは思っていません。

かべなし:では求められる「合理的配慮」の適当度については、何を基準に線引きをしていますか?

佐々木:適切な範囲の配慮を求めていらっしゃるかどうか、という一点です。それができている方は、自分の状態を客観視できている可能性が高い。だから配慮の要望の書き方も、結局は自己理解を見る材料のひとつになっています。

選考段階で3日間の実習を組み込み、ミスマッチ採用を減らす

かべなし:ミスマッチや短期離職を防ぐ仕組みとして、シェアードで実践していることがあれば教えてください。

馬場:見極めを面接という一点に集約させない。それがシェアードサービスグループの選考設計の基本方針です。選考から本配属までは、以下の工程に分かれています。

段階 内容 ここで確かめること
会社説明会・見学会 事業・組織・メンバーの紹介 —
実習前面談 実習内容の説明 実習参加の可否
職場体験実習(3日間) 業務の疑似体験 業務量に体調が追いつくか/3日間通えるか
面接(1〜2回) 価値観・働き方のマッチ 自己理解・自己発信
内定・オファー面談 期待役割・条件のすり合わせ —
入社後 前半2週間 会社・サービス理解+共通業務 得意・不得意の傾向
入社後 後半2週間 仮配属チームでの実務 業務適性
1ヶ月時点 アセスメント結果を本配属チームへ引き継ぎ 配慮事項の合意

かべなし:選考フローの前段に、3日間の職場体験実習を組み込んでいるんですね。

馬場:業務量に問題がないか、3日間通いきれるか、業務遂行力があるかの3点を見ています。本人側にとっても「ここでやっていけそうか」を確かめる機会になっています。

3日間の職場体験プログラムの例
3日間の職場体験プログラムの例

かべなし:面接だけでなく、実習を含めた各工程で「何を確かめるのか」を先に決めておくことが大切なのですね。この積み重ねが現在の定着率につながっているように思います。

入社後はまず「納期に追われず、リカバリーが利く作業」で適性を判断

かべなし:入社された後は、どのように業務に携わっていくのでしょうか。

馬場:入社した方は全員、いったんオンボーディングチームに所属します。1ヶ月間のプログラムは前半と後半で役割が分かれています。

入社後1ヶ月間のオンボーディングプログラムの流れ
入社後1ヶ月間のオンボーディングプログラムの流れ

馬場:前半2週間は、会社・ミッション・各サービスの理解が中心です。複合機の操作方法、フロア案内、会社として大切にしている行動指針のワーク、また自社のサービスを調べてまとめ、プレゼンしてもらうこともあります。並行してOJTで業務トレーニングに取り組みます。

かべなし:業務トレーニングでは、どんな業務に携わるのでしょうか。

馬場:内容としてはさまざまなのですが、納期に追われず、リカバリーが利く作業を選んでいます。手先を使う作業とデータ入力の両方をやっていただいて、速度・正確性・集中の持続を見ます。

データ入力は得意でも、紙を使った作業だとミスを連発するなど、得意・不得意の凸凹の大きさは個人差が大きいんだな、と毎回感じますね。

かべなし:障害種別ではなく、あくまでも個人を観察して配属チームを決めているのですね。配属を決める際は、業務適性が主軸になっているのでしょうか?

佐々木:17チームそれぞれに色があって、ずっと黙々と作業するチームもあれば、会話の多いチームもある。そこは本人の雰囲気と合わせて決めています。

馬場:1ヶ月間のオンボーディング期間のうち、後半2週間は仮配属です。「あなたは経理チーム」「あなたは人事チーム」という形で実際の業務に入り、並行して毎日の振り返り面談、週次の振り返り、同期同士のグループワークを行います。

同期でのグループワークは、配属後も相談できる相手が社内にいる状態をつくることですね。

配慮事項は、必ず本人を交えて決める

馬場:1ヶ月間のオンボーディングの終盤は、本配属チームへの引き継ぎを行います。2週間経過時点で「どんな方か」をいったん共有し、1ヶ月時点でアセスメントシートを渡します。経歴、障害、必要な配慮事項などを記載したものです。

かべなし:それはオンボーディングチームと配属先チームのリーダー間で共有されるのでしょうか。

馬場:いいえ、両チームのリーダーに加えて、必ず本人が同席します。配慮事項は必ず、本人を含めた三者で認識を合わせてからでないと、対応に微妙なズレが生じてしまうためです。

佐々木:ここは誤解されたくないところで。個別の配慮事項について、「気分障害のある方にはこの配慮を」という設計はしていません。同じ診断名でも出方はまったく違うため、必要な配慮は一人ひとりアセスメントで決めています。

不調の兆しは、ツールのアラートと専門チームで拾う

かべなし:配慮事項の共有は、かなり密に行っているのですね。日々の勤怠にもつながる、体調管理や面談はどう対応していますか。

佐々木:日々のコンディションは、体調管理ツール「キモチプラス」で数値化・可視化されています。自己発信がまだ難しい方の変化も、アラートとして定着・育成専門チームが検知する仕組みです。

体調管理ツール「キモチプラス」の画面
体調管理ツール「キモチプラス」の画面

馬場:定着・育成チームは4名で、社会福祉士やジョブコーチなどの有資格者を含みます。アラートが出次第、そのチームのリーダーと個別でコミュニケーションをとって情報を共有していきます。

かべなし:現場のリーダーだけに任せない仕組みを作ったのは、属人化を防ぐためでしょうか?

佐々木:その目的もありますが、多忙なリーダーに代わり、専門知識があって感度が一定以上あるメンバーに並走してほしかった意図です。行動につなげる体制にしています。

かべなし:有資格者が対応するということも、最適な初動がとれる要素になっていると思われますが。

佐々木:正直に言うと資格があればよい、という気は全然していません。ただ、有資格者が並走することが候補者にとって安心材料にはなっている、とは思います。

1年半かけて経理チームへ。「卒業」を送り出す文化

かべなし:シェアードへ入社した後は、シェアード内でマネジメントをめざす、という成長フローになるのでしょうか?

馬場:いえ、シェアード内だけでなく、一般の事業部へ異動する道も用意されています。ただし、入社後6ヶ月~1年かけて異動への準備を進めていくのがスタンダードです。

エス・エム・エスの障害者雇用におけるキャリアパス図
エス・エム・エスの障害者雇用におけるキャリアパス

佐々木:本人の希望は考慮しますが、希望どおりに異動できるとは限りません。その点も、明らかにミスマッチな配属はしない、と本人へ隠さず伝えます。

馬場:その場合は、近しい領域で配属先を決めたうえで、なぜその配属になったのかを必ず伝えます。希望通りの配属を叶えるために必要な経験や、克服すべき課題を明示します。

シェアードから他事業部へ。「卒業」という形で旅立つメンバーも

かべなし:入社時は「事業部配属は難しい」と判断された方でも、異動を叶えた例はありますか?

佐々木:「かべなし」経由で入社した方で1名いらっしゃいます。入社直後はセルフマネジメントや仕事に対する姿勢にまだクリアすべき課題があり、事業部配属は難しい状態。しかし入社時から簿記の勉強を続けており、将来は経理をやりたいという意欲の高い方でした。

馬場:まずは、課題の克服のため「集合配置からステップを踏んでみよう」と伝えました。その結果、自ら習得計画を作り、少しずつ業務の幅を広げていき、約1年かけて経理チームの主力メンバーに。その半年後、経理の事業部へ異動となったんです。

佐々木:1年半かけてセルフマネジメントを学び、部署異動に成功した例ですね。シェアードではそのような異動を、メンバーから自発的に「卒業」と呼んでいます。

かべなし:セルフマネジメントをひとりで身につけるのは、かなり大変なのでは?

馬場:その点については、チームリーダーが月2回、SVが月1回の面談を行い、入社初期は専門チームが毎日、隔日、週次と段階的に頻度を落としながら関わります。

部署配属になったあとも専門スタッフが定期的に入り、受け入れ部署側のマネジメント支援を行います。

常に、成長に向き合い続けること。これから見極めに取り組む企業へ

シェアードサービスグループの佐々木一哉と馬場拓弥
シェアードサービスグループの佐々木一哉と馬場拓弥

かべなし:最後に、同じ課題を持つ企業へメッセージをお願いします。

佐々木:まず、ひとくちに「障害者雇用が難しい」といっても企業規模によってさまざまな問題があるので、課題を因数分解してみてほしいです。例えば、小規模な企業では母集団形成、5,000人規模の企業だと定着・業務切り出し・組織マネジメントが課題となる傾向にあります。

馬場:障害に関する知識があることと、実際に障害者雇用を推進・管理できることは別物。知識は入り口で、そこから先は健常者と同じ組織運営の話になります。そこを分けて考えられると、打ち手が変わってくるかもしれません。

かべなし:ありがとうございます。組織として大切にしている姿勢はありますか?

佐々木:一緒に働く社員には、常に自身のキャリアや成長に向き合い続けてほしいと考えています。そのために必要な個々の特性に寄り添う配慮と、プロフェッショナルな品質担保の両立をめざしています。

障害者雇用の課題、まずはご相談ください。

選考設計の見直し、業務の切り出し、配属後の定着支援。どこから手をつけるべきか判断がつかないという段階でも、現状を整理するところからご相談いただけます。

※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。
株式会社エス・エム・エス 様 業種:人材総合サービス事業 従業員数:1,000人以上
ホームページ: https://www.bm-sms.co.jp/