特性に合わせたサポート×付加価値のある業務創造で生産性向上に貢献。特例子会社の軌跡を探る
株式会社サザビーリーグHR 様
株式会社サザビーリーグの事業支援会社として、障害のあるスタッフの雇用創出とグループ各社からの業務受託を担う特例子会社・株式会社サザビーリーグHR。
同社は発達障害のあるメンバーが“補助職”ではなく“高度専門職”として活躍できる独自のカルチャーを築き上げてきました。しかしその歩みの裏には、設立当初にあった障害者雇用の導入に対する戸惑いと、一歩ずつ実績を積み上げるための試行錯誤がありました。
いかにして障害者雇用への懸念を払拭し、グループ内で「サザビーリーグHRの指導員になりたい」と手が挙がるほどの組織へと変革したのか。また、採用競争が激化する中で「かべなし」をどのように活用しているのか。同社代表取締役社長の陣内様にお話を伺いました。
| 陣内様: | 代表取締役社長 |
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身体障害のある方の採用難から着目。9割が発達障害のあるスタッフ
かべなし担当者(以下、かべなし): 本日はよろしくお願いいたします。まずは、サザビーリーグHR様の現在の組織規模と、担われている主な職域について教えていただけますでしょうか。
陣内様: 当社は2009年4月に設立し、現在は千駄ヶ谷、横浜、市川、新杉田の4拠点を展開しています。在籍している障害のあるスタッフは80名で、そのうち約9割が発達障害のある方々です。
かべなし: 約9割が発達障害のある方というのは、非常に特徴的ですね。
発達障害がある方が多いのは、設立当初からの意図的な方針だったのでしょうか。
陣内様: 私たちが本格的に障害者雇用をスタートさせたのは、2012年。当初は身体障害のある方の採用も検討していました。ただ、市場を調査する中で、働く世代の身体障害のある方々は既に多くの企業で活躍されており、採用市場で継続的に人材と出会うことは容易ではないことが分かりました。
一方で、発達障害のある方の雇用実績は、社会的にも他社でも多くありませんでした。働く環境さえ整えれば、素晴らしい集中力を発揮し、向上心を持って取り組める特性があることを知り、今後の持続可能性も見据えて、発達障害のある方の採用に注力するという決断をいたしました。
かべなし: 単なる雇用人数の確保ではなく、今後の拡大や活躍も見込んだ上で、長く一緒に働けるかという観点からのスタートされたのね。
陣内様: また、サザビーリーググループは小売業であり、全国に500以上の店舗を構えています。当時、店舗の現場で障害者雇用を推進するのは非常にハードルが高かったこともあり、店頭ではなく特例子会社で活躍いただけたら、という思いもありました。
かべなし: 「戦力になっていただく」という目的があったからこそ、現在は非常に幅広い領域まで業務が拡大していると伺っています。具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか。
陣内様: 事務作業や物流システム関連業務といった一般的な領域に加え、現在はソフトウェア開発、SNSの調査分析、DTP業務やグラフィックデザインといった領域も担っていますね。

双方への配慮から始まった、横浜での業務開拓
かべなし: 設立当初から、そうした専門的な業務をスムーズに任せてもらえていたのでしょうか。
陣内様: いえ、最初は全く違います。発達障害のある方の雇用は社会全体でもまだ未知の領域でしたから、最初に直面した「壁」は、障害のある方と同じ空間で働くことに対する社内の戸惑いでした。
かべなし: コミュニケーションコストが上がるのでは、というご不安ですね。当社でも他社様を支援した際によく伺います。
陣内様: ええ。そこで、まずはお互いにとって無理のない環境で実績を作ろうと、本社からは少し距離を置いた横浜のサテライトオフィスでスモールスタートを切ることにしました。
しかし、最初は「何か仕事はありませんか」と待っていても全く依頼は来ません。そこで、弊社の指導員たちが自ら各事業会社に足を運び、「何かお困りごとはありませんか?」と各事業のニーズをヒアリングして回ったのです。
「事業会社が依頼する意義」を創出する。付加価値とクオリティの追求
かべなし: 待つのではなく、自ら現場の課題を解決しにいったのですね。そこからどのように業務を切り出していったのでしょう。
陣内様: 実は、当社の指導員の多くは人事や総務の出身ではなく、グループ各社の現場で働いていた経験を持っています。
現場の事業内容や事情に明るい彼らだからこそ、各社が抱える煩雑な定常業務の「かゆいところ」や「本来の意図」を正確に汲み取り、障害のあるスタッフでもミスなく遂行できるように業務プロセスを再構築することができたのです。
現場の事情を深く理解しているメンバーだったからこそ、事業会社が「依頼したくなる」提案ができたのですね。
陣内様: はい。私たちが徹底したのは、事業会社にとっての「付加価値」をつけることです。
例えば、時代の変化でグループ内からの印刷業務そのものが減少した時期。その際も、ただ印刷量が減っていくのを眺めるだけではなく、印刷の前後の「仕分け」や「折り作業」、あるいは「ラミネート加工」や「発送」といった作業を自ら提案して巻き取っていきました。
かべなし: 言われたことだけをやる補助的なポジションにとどまらず、前後の工程も引き受けることで「サザビーリーグHRに依頼する意義」を創出していったと。
陣内様: ええ。そして、私たちの仕事はビジネスである以上、納品物のクオリティ厳守は不可欠です。そのため、納品前にはスタッフ自身のチェックに加え、指導員によるダブル、トリプル、時にはクアトロ(4重)チェックまで行い、徹底してクオリティを担保する体制を敷いています。そうした一歩ずつの実績の積み重ねが、現在の信頼に繋がっています。
高い品質と納期を守り抜く「ピープルマネジメント」の仕組み
かべなし: 「付加価値」と「品質」への徹底したこだわりが、現場から頼りにされる理由なのだとよく分かりました。ただ、そこまで何重ものチェック体制で品質を守り抜くには、スタッフの方々の特性に合わせたマネジメントの仕組みが必要不可欠ですよね。
陣内様: おっしゃる通りです。それを実現するため、現場をまとめる指導員の採用においては、障害に関する専門知識よりも「ピープルマネジメントのスキル」を最重視しています。
まずは業務の属人化を防ぐため、マニュアルやチェックリストを整備し、曖昧な表現を避けた具体的な指示出しを徹底します。また、感覚過敏の方にはイヤーマフや耳栓の利用を認めたり、集中しやすい環境を整えたりと、一人ひとりの特性に合わせた物理的・心理的なサポートを行っています。
不測の事態にはどう対応されているのでしょうか。
陣内様: スタッフの体調や特性によって想定通りに進まない場合には、指導員が事業会社とこまめに納期調整を行ったり、チーム内で作業をカバーし合ったりして対応します。
「事業会社が求めるクオリティの担保」と「スタッフに無理をさせない納期調整」。この絶妙なバランス感覚でプロジェクトを管理していくことこそが、指導員に求められる最も重要なピープルマネジメントのスキルだと言えます。
働く環境を踏まえた紹介を。エージェントの人材提案精度に期待
かべなし: そのように確立された「ピープルマネジメントの体制」の中で活躍できる人材を採用するのは、一般的な手法ではなかなか難しいのではないでしょうか。今後の採用計画や課題についてお聞かせください。
陣内様: 各企業がこぞって採用を強化する中で、当社の採用活動も今後さらに厳しくなることは想定できています。
そのため、従来の就労移行支援事業所からのご紹介だけでなく、採用チャネルを増やす必要性を感じて、かべなしさんのようなエージェントの利用を開始しました。
かべなし: 数あるサービスの中で、かべなしをご活用いただいている理由は何でしょうか。
陣内様: 一番は、条件マッチ度の高さです。ただスキルや経歴が合う人を選ぶのではなく、私たちが求めている人物像や、「こんな場所で、こういう環境で働く」といったリアルな就業環境まで深く理解した上で、それに合う方を紹介してくださいます。
かべなし: 入社後のミスマッチを防ぐためにも、実際の働く環境やカルチャーとの親和性のすり合わせは非常に大切にしています。
陣内様: 事前にそこまで的確に絞り込んでいただけるため、面接などの採用工数が大幅に削減され、生産性の高い採用活動が実現できています。
「指導員になりたい」と声が上がる組織へ。グループ全体の底上げを
かべなし: 採用の入り口から現場のマネジメントまでが一気通貫で機能しているからこそ、御社の障害者雇用はビジネスとして力強く推進できているのだと深度理解できました。
着実な歩みを経て、現在、社内全体の雰囲気にも変化が
陣内様: 横浜でのスモールスタートから始まり、現場での着実な実績づくりを経て、今ではグループ全事業会社と業務のやり取りを行うまでになりました。「障害のある方と一緒に働けるのか」と懸念されていた当時からすると劇的な変化で、今では本社の他部署から自発的に「指導員になりたい」と手が挙がるほど、認知度と理解が向上しています。
かべなし: 現場での地道な取り組みが、グループ全体の風土を変えたのですね。最後に、今後の展望をお聞かせください。
陣内様: 法定雇用率のさらなる引き上げを見据えると、サザビーリーグHRという特例子会社単体での受け入れキャパシティにはいずれ限界がきます。
今後はグループ内の各事業会社自身が直接雇用を進められるよう、私たちが培ってきた業務切り出しやマネジメントのノウハウを提供し、グループ全体のサポート体制を底上げしていくことが次のフェーズだと考えています。
かべなし: 困難な壁を乗り越え、確固たる体制を築き上げた御社の知見がグループ全体に広がっていくのが非常に楽しみです。本日は貴重なお話をありがとうございました。