「寄り添う」だけじゃない。マネーフォワードが築いた、可能性を信じ抜く障害者雇用というあり方
株式会社マネーフォワード 様
――「Talent Forward」を掲げ、障害のある方にも自立と共創を。組織創りに併走する「かべなし」の支援
2012年5月の設立以来、個人向け家計簿アプリや法人向けバックオフィスSaaSなどを展開し、急成長を遂げた株式会社マネーフォワード。
障害者雇用率3.23%(2025年6月1日時点)という高い水準を維持しつつ、約70名のメンバーが第一線で活躍しています。障害者雇用を本格的にスタートして、いかにしてメンバーの可能性を引き出す現在の体制を築き上げたのか。 ビジネスサポート本部の北島様に、同社が描く障害者雇用の形と「かべなし」との取り組みについてお話を伺いました。
| 北島様: | 株式会社マネーフォワード ビジネスサポート本部 採用・活躍支援部 部長 |
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キャリアと人生を、共に前へ。支援ポリシーに込めた障害者雇用への想い
まずは、マネーフォワード様が大切にされている障害者雇用へのスタンスを教えてください。
北島様 :私たちメンバーには、マネーフォワードのMission・Vision・Values・Culture(MVVC)が深く根づいています。これらはすべてのメンバーが障害の有無に関わらず、対等に成長し活躍できる環境づくりの土台となっています。こうした考えは、2023年に公開した「支援ポリシー」にも明文化しています。
「働くことは、経済的な安定だけではなく、個人の成長と社会貢献を叶える機会である」という言葉がその根幹にあり、障害のある方にも同じようにキャリアと人生を前に進めてほしいという想いを込めています。
かべなし: そうした想いの裏には、北島様ご自身の原体験もあるそうですね
北島様: はい。実は前職でも障害者雇用に携わっていたのですが、当初はこの役割に対して、福祉的なイメージの方が強かったんです。でも、仕事を通じて色々な方に出会う中で、もっと皆さんは活躍ができるし、一人ひとりが仕事を通じて人生を豊かにできるはずだ、と感じるようになりました。
企業の立場で考えても、日本全体が労働人員不足と言われている中で、皆さんの存在はキーとなるし、もっと社会に進出して欲しい、そうでないともったいないと思ってます。その原体験が、支援ポリシーで掲げた「あなたが働く中で成長し、自らの意思と行動で、自身のキャリアと人生をさらに前へ進められる」という言葉にも繋がっています。
一人ひとりの成長を本気で支援するからこそ、配慮だけにとどまらない姿勢が生まれるのですね。
北島様: その通りです。必要な配慮はもちろん大切にしながらも、私たちが本当に目指しているのは、一人ひとりが自分らしく成長し、キャリアを築いていける環境をつくることです。メンバーの可能性を信じて任せること、それが私たちの支援の根幹にあります。
現在は約70名が活躍中。急成長の裏で直面した「壁」
かべなし: そうした想いを体現されているのが、現在約70名のメンバーが所属する「ビジネスサポート本部」ですね。どのような体制で業務を進められているのでしょうか。
北島様: ビジネスサポート本部は主に障害者雇用のメンバーが在籍している本部となります。このビジネスサポート本部には3つの部で構成されています。データ入力などの事務業務を担う「アウトソーシング部」、総務や環境整備を行う「オフィスサポート部」、障害者採用業務と入社後の活躍を促進する「採用・活躍支援部」の3チームです。
働き方は各部の機能によって異なっており、アウトソーシング部・採用活躍支援部は在宅(リモートワーク)と出社のハイブリッドワーク、オフィスサポート部はフル出社です。
在籍メンバーの約9割は精神障害のある方なので、通勤の疲労による体調悪化を防ぐべく、一部ポジションではリモートワークを取り入れています。これが安定した勤務とパフォーマンスに直結していますね。
働きやすさと成果を両立できる体制なのですね。しかし、ここに至るまでには様々な「壁」があったと伺いました。
北島様:私がジョインした頃は約20名だったメンバーが、今では約70名になりました。組織が急拡大する中で、最も苦労したのはキャリア形成と定着支援の仕組みをどう作るかという点です。人数が増えれば増えるほど、一人ひとりの状況を丁寧に把握することが難しくなる。評価の基準が曖昧だと、メンバーは「自分はちゃんと評価されているのか」「この先どうなるのか」という不安を抱えやすくなります。そうした課題に向き合う中で生まれたのが人事制度の「インクルーシブコース」です。
成長のステップや期待値を言語化し、メンバーが自分のペースでキャリアを描けるようにしました。また、法定雇用率の引き上げも相まって、採用面でも大きな壁に当たりました。求める人物像を明確にしながらも、より多くの方にマネーフォワードを知っていただき、応募につなげていくか。母集団の形成から採用の質の担保まで、試行錯誤が続きましたね。
その手探りの状態から、どのように採用と業務開拓を進めていったのでしょうか?
北島様: まずは採用基盤を作るため、就労移行支援事業所へ自ら足を運び、マネーフォワードが障害者雇用に積極的に取り組んでいることを知っていただけるよう、会社説明や情報発信に力を入れました。そうした地道な活動を続ける中で、「マネーフォワードなら安心して任せられる」と信頼していただけるようになり、徐々に採用が進んでいきました。
かべなし: ゼロからの地道な開拓だったのですね。一方で、組織が拡大する中、リモート環境下でサポートを行うには難しさもあったのではないでしょうか。
北島様: おっしゃる通りです。組織が拡大するにつれ、個別の対応だけでは限界があると感じ、仕組み化に力を入れました。評価制度や支援の枠組みを整備することで、一人ひとりに対して属人的なサポートに頼らずとも、安定して働き続けられる環境を作ることができました。
もちろん、それと並行して私や現場のメンバーが毎日のように1on1を行い、それぞれの課題や進捗、成果を丁寧に把握することも続けていました。当時はひたすら面談と仕組みづくりの両輪で、障害者雇用の土台を築いていきましたね。
「かべなし」が繋ぐ、求職者の成長意欲と企業カルチャー
そうした環境の中で、採用活動において私たち「かべなし」をご利用いただきました。評価いただいている点はどこにありましたか。
北島様: 弊社では、メンバーの成長意欲やカルチャーへの共感を特に大切にしています。そのため、エージェントとの「目線合わせ」には非常に力を入れています。スキルや障害の程度だけでなく、その方がマネーフォワードでどう成長していきたいのかという部分まで理解した上でご紹介いただけるかどうかが、採用の質に直結するからです。
かべなし: エージェント側にも、貴社内同様の深い企業理解を求められたのですね。その点、弊社の対応はいかがでしたか?
北島様: 「かべなし」さんは、私たちが求める人物像に対する解像度を、圧倒的なスピード感で高めてくれました。応募者の方のスキルや障害の程度だけでなく、「もっと成長したい」という求職者本人の熱量や自己理解の深さを的確に見抜き、弊社のカルチャーと引き合わせてくれたと感じています。
かべなし: 貴社で本当にポテンシャルを開花できる方をご紹介するため、連携は密に取らせていただきました。
北島様: レスポンスの速さも素晴らしかったです。ポジションが空いていなくても「こういう方ならどうですか?」と絶え間なく提案してくださる姿勢は心強かったですね。他社の事例や人事同士の繋がりも積極的に共有していただき、まさに一緒に組織を創るパートナーとして伴走していただきました。
「支援ポリシー」に込めた想い。透明性が生む自律的な選択
かべなし: 新たなメンバーが加わり組織が拡大する中で、独自の人事制度「インクルーシブコース」と「支援ポリシー」を策定・公開されましたね。
北島様: 当社が掲げる「Talent Forward(社員の可能性をもっと前へ。)」という考え方が根底にあります。これはすべてのメンバーの可能性を最大限に引き出すという想いを込めたテーマで、障害のある方も例外ではありません。
その考えを制度として形にしたのが「インクルーシブコース」であり、対外的に発信したのが「支援ポリシー」です。ただ、この支援ポリシーを公開したのは、ただ「自社のスタンスに合う人を集めたい」という理由だけではありません。
どのような背景があったのでしょうか。
北島様: マネーフォワードが障害者雇用に対してどのような立ち位置で、どういう支援を提供するのか。それを包み隠さず発信することで、障害のある当事者の方々が「自分らしく働ける環境」を、正しい情報をもとに自律的に選べるようにしたかったのです。
かべなし: 企業側の一方的な要件ではなく、求職者への「透明性のある情報提供」としての意義が大きかったのですね。
北島様: その通りです。事前に情報をオープンにすることで、理解を深めた上で面接・入社してくれます。「会社はあなたのキャリアアップを支援する」という共通の約束ができたことで、現場での仕事に対する心理的なハードルも下がり、より安心して挑戦できる環境が整いました。
AIを「使いこなす」側へ。市場価値を高める育成
最後に、ビジネスサポート本部が今後見据えている展望についてお聞かせください。
北島様: 今後AIの技術がさらに進化していく中で、現在メンバーが担当している定型業務の一部は、将来的にAIに代替される可能性もあります。しかし私たちは、それをネガティブなことだとは捉えていません。むしろ、メンバーがより付加価値の高い仕事にシフトできるチャンスだと考えています。
かべなし: 業務がなくなる恐怖ではなく、別の機会として捉えているということでしょうか。
北島様: そうです。AIの普及を前提として、今はメンバーに対してAIツールの活用に向けたデータ整理の業務や、ナレッジシェアなどの勉強会を積極的に行っています。
AIに仕事を奪われるのではなく、AIを「便利なツール」として使いこなす側に回ってほしい。そのための環境づくりに、今まさに取り組んでいるところです。
かべなし: メンバーの可能性を信じ、次のステージへの挑戦を全力で後押しされているのですね。
北島様: 今後は障害者雇用の枠を飛び越え、社内の他の一般部署をAI活用でサポートできるような人材へと育ってほしい。マネーフォワードは、そういった「社会から求められる人材」になるための挑戦を全力で支援していきます。
かべなし: 最後に、障害者雇用の体制構築に悩む他社の人事担当者へメッセージをお願いします。
北島様: 障害のある方への配慮はもちろん大切ですが、それと同時に、その方の可能性を信じて任せることも重要だと思います。自社の立ち位置を明確にし、本人のポテンシャルを信じて共に歩んでいくこと。 そして、自社だけで抱え込まず、「かべなし」さんのようなパートナーと力を合わせることが、一人ひとりの可能性を開花させる大きな一歩になるはずです。
かべなし: 働く方々の可能性を心から信じ、共に前へ進もうとする北島様の想いが伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。