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障害者雇用の採用基準はどう決める?一般職との違いやミスマッチを防ぐ方法を解説

公開日: 更新日:
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障害者雇用の採用基準はどう決める?一般職との違いやミスマッチを防ぐ方法を解説

障害のある方の採用において、「自社に合った採用基準をどのように設定すべきか」と悩む人事担当者は少なくありません。

この記事では、一般枠と障害者枠における採用基準の違いから、面接で見極めるべき具体的なチェックポイント、そして入社後のミスマッチを防ぐ方法について解説します。

障害者雇用の全体像や基本ルール、企業に課せられる法的義務についてまずおさらいしたい方は、以下の記事を最初にご覧ください。

基礎を知る「障害者雇用制度とは? 企業の義務を徹底解説」

💡この記事でわかること
・一般枠の採用基準との決定的な違い
・障害種別ごとの採用基準と実務上のハードル
・面接で共通して確認すべき5つの重要項目
・採用活動における企業側の注意点と支援機関の活用法

障害者雇用における採用基準の考え方とは

障害者雇用の採用基準とは、業務スキル以上に障害特性の自己理解と安定就労の可能性を見極めるための指標です。
💡Point
・障害者雇用の採用基準は「スキル」よりも「安定就労」を優先する
・一般枠とは評価の比重が根本的に異なる
・データからも、早期離職を防ぐための適性見極めが重要であることがわかる

一般枠の採用基準との決定的な違い

障害者雇用の採用基準は、一般枠の採用基準と評価の比重が大きく異なります。結論から言えば、 「業務スキルや経験」よりも「自己理解と安定就労」のウエイトが高くなります。

比較項目 一般枠の採用基準 障害者雇用枠の採用基準
優先事項 即戦力となるスキル・経験 安定して長く就労できるか
評価の軸 業績への貢献度・ポテンシャル 自身の障害・特性に対する自己理解
配慮の前提 基本的に不要 企業側に求める合理的配慮の明確さ

一般枠では、企業が求める職務要件に対するスキルや経験値が合否の決定打となります。しかし障害者雇用においては、どんなに高いスキルを有していても、体調が安定せず出勤が困難であれば実務を任せることができません。

業務スキルよりも「安定した就労」を優先すべき理由

業務スキルよりも安定した就労を優先する理由は、 入社後のミスマッチによる早期離職を防ぐため です。

  • 業務の継続性
    体調不良による突発的な欠勤が続くと、現場の業務フローに支障をきたします。
  • 現場の体制構築
    安定して出勤できる人材であれば、受け入れ現場も段階的な業務の切り出しや指導の計画が立てやすくなります。
  • 法定雇用率の算定
    早期離職が発生すると、法定雇用率の算定においてマイナスとなり、採用活動の工数が再び発生します。

長期的な視点で企業の戦力として定着してもらうためには、まずは「決められた日時に、安定して出社・業務ができるか」最も重要な基準となります。

あわせて読みたい「障害者雇用の企業メリット」とは

障害のある方の職場定着率は、障害種別によって差があり、採用時の見極めがいかに重要であるかを示しています。

障害者職業総合センター(NIVR)の調査データによれば、就職後1年時点での職場定着率は以下の通りです。

障害種別 就職後1年の職場定着率
身体障害 60.8%
知的障害 68.0%
精神障害 49.3%
発達障害 71.5%

参考:障害者職業総合センター(NIVR)|調査研究報告書No.137 障害者の就業状況等に関する調査研究(2017年)

特に精神障害のある方の1年定着率は半数を下回っており、体調変化の波やストレス耐性に関する面接時の確認不足が早期離職につながっているケースが多く見られます。採用基準において安定就労の要件を明確にすることが、歩留まり改善の第一歩です。

特に精神障害のある方の1年定着率は半数を下回っており、体調変化の波やストレス耐性に関する面接時の確認不足が早期離職につながっているケースが多く見られます。採用基準において安定就労の要件を明確にすることが、歩留まり改善の第一歩です。

あわせて読みたい「障害者雇用枠と一般枠の違い」

【障害種別】面接で確認すべき採用基準とポイント

💡Point
・精神障害・発達障害はストレス耐性とコミュニケーションが鍵
・知的障害は業務手順の習得プロセスと反復作業への適性を確認する
・身体障害は物理的な環境整備と通勤への配慮が不可欠

精神障害・発達障害の採用基準:ストレス耐性とコミュニケーション力

精神障害や発達障害のある方の採用では、 見えない疲労やストレスに対する自己対処の仕組み構築できているかを確認します。

  • ストレスのサインの自覚
    自分にストレスがかかった際、どのような心身の変化(不眠、食欲不振など)が現れるかを把握しているか。
  • 対処法(コーピング)
    ストレスを感じた際に、自らリフレッシュする手段を持っているか。
  • コミュニケーションの傾向
    曖昧な指示(例:「適当にやっておいて」)に対する理解度や、言葉の裏の意図を汲み取ることに負担を感じないか。

実務上のハードルとして、周囲の環境音や光への感覚過敏、または想定外の業務変更によるパニックなどが挙げられます。これらに対して、どのような環境調整があれば実力を発揮できるかをすり合わせます。

知的障害の採用基準:業務手順の習得と反復作業への適性

知的障害のある方の場合は、 業務を習得するためのプロセスと、ルーティンワークへの適性 が重要な採用基準です。

  • 理解しやすい指示の方法
    口頭での指示がよいか、写真や図解を用いたマニュアル(視覚支援)が必要か。
  • 反復作業への耐性
    決まった手順を繰り返す作業に対して、集中力を維持できるか。
  • 過去の成功体験
    学生時代の就労移行支援や過去の職場で、どのような業務を得意としていたか。

現場の実務上のハードルとしては、臨機応変な判断やマルチタスクが求められる場面で手が止まってしまうことが挙げられます。そのため、業務の切り出し段階で「判断基準が明確な単一業務」を用意できるかが企業側に問われます。

身体障害の採用基準:物理的な環境整備と通勤への配慮

身体障害のある方の採用基準は、 物理的なアクセスと、業務を行う上での身体的制約の範囲 を正確に把握することです。

  • 通勤の可否
    公共交通機関を利用した通勤が可能か、ラッシュ時を避ける時差出勤が必要か。
  • オフィス環境の適合性
    段差の有無、車椅子で通れる通路幅、多目的トイレの配置など、ハード面の整備状況と合致しているか。
  • 業務上の制約
    電話対応、PC入力、重量物の運搬など、担当予定の業務において発生する身体的な負担の有無。

身体障害のある方は、環境さえ整えば一般枠と同等のパフォーマンスを発揮するケースが多くあります。しかし、エレベーターの有無や定期的な通院への配慮など、実務上のハードルを事前にクリアにしておかなければ、就労の継続が困難になります。

【無料セミナー】「採用のための採用」にならない自社雇用の進め方

障害者雇用の面接で共通して確認すべき5つの採用基準

💡Point
・障害の自己理解と配慮事項の明確化が最重要
・自己管理能力(服薬・勤怠)が安定就労を支える
・SOSを自分から出せるコミュニケーション能力が必要

自身の障害特性に対する自己理解の深さ

障害者雇用における最も重要な採用基準は、 応募者が自身の障害特性を客観的かつ正確に理解しているか です。

  • どのような状況で体調を崩しやすいか
  • 得意なこと、苦手なことは何か
  • 過去の失敗から何を学び、現在どう対処しているか

これらを自分の言葉で論理的に説明できる人材は、入社後も自己コントロールが機能しやすく、長期的な定着が期待できます。

企業側に求める合理的配慮の明確さ

企業に対して「どのような配慮があれば安定して働けるか」具体的に提示できるかも必須の基準です。

  • 良い例
    「月に1回の通院があるため、第3水曜日の午後は半休をいただきたいです」「耳からの情報処理が苦手なので、指示はチャットやメモなどテキストでいただけると助かります」
  • 懸念すべき例
    「特に配慮は必要ありません」「何でもできます」

配慮事項が明確であれば、企業側も受け入れ体制構築の可否を判断できます。逆に配慮事項がないと主張する場合、自己理解が不足しているリスクがあります。

周囲にSOSを出せるコミュニケーション能力

業務上の困難や体調不良を感じた際、 自分から周囲に対して適切にSOSを出せる能力 は、大きなトラブルを未然に防ぐために不可欠です。

勤怠を維持するための自己管理・服薬管理能力

安定した出勤を維持するためには、 日常生活における自己管理能力ベースとなります。

  • 睡眠と食事
    毎日決まった時間に就寝・起床し、食事を摂れているか。
  • 服薬管理
    処方された薬を、自身の責任において用法・用量通りに服用できているか。
  • 通勤訓練
    就労移行支援事業所などに、決められた日数・時間で安定して通所できていたか。

これらが乱れていると、採用後にフルタイムでの就労や、週5日の勤務に耐えられなくなる可能性が高くなります。

採用基準を運用する際の企業側の注意点

💡Point
・就職差別につながるNG質問の原則を社内で共有する
・障害特性に関する踏み込んだ質問は言い換える
・要配慮個人情報は本人の同意と厳重な管理のもとで扱う

就職差別につながる不適切な質問の回避

面接では、応募者の適性や能力に関係のない事項を質問してはなりません。これは障害者雇用であっても一般枠と同様であり、以下の項目を聞くことは就職差別につながる恐れがあります。

  • 本籍・出生地に関すること
  • 家族に関すること (職業、続柄、健康状態、地位、学歴など)
  • 住宅状況に関すること (間取り、部屋数、住宅の種類など)
  • 宗教、支持政党、思想、信条に関すること

まずは上記の原則を面接官となる現場の担当者にも周知徹底することが求められます。

その上で、障害のある方への面接では「配慮のための確認」と「プライバシーの侵害(NG質問)」の線引きが難しくなる場面が多々あります。障害特性に関する具体的なNG質問の例や、面接官が実務で使える「OK質問への言い換え」については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

あわせて読みたい障害者雇用の面接で「聞いてはいけない質問」

プライバシーと要配慮個人情報の取り扱い

障害に関する情報は「要配慮個人情報」に該当します。採用活動において取得した医療情報や障害特性に関するデータは、厳格な取り扱いが求められます。

  • 取得の同意
    情報を取得する目的を明確にし、必ず本人の同意を得る。
  • 社内共有の制限
    配属先の現場担当者へ情報を共有する際も、「どこまで開示してよいか」を本人と事前にすり合わせる。
  • 保管の徹底
    人事部内での閲覧権限を制限し、情報漏洩を防ぐ体制を構築する。

就労支援機関(支援員)の同席におけるルール

障害のある方が就労移行支援事業所などを利用している場合、面接に支援員が同席することがあります。

  • 役割の明確化
    支援員はあくまで応募者のサポート役であり、面接の主体は応募者本人です。
  • 客観的情報の補完
    本人が説明しきれない障害特性や、第三者から見た得意・不得意などの客観的な情報を支援員からヒアリングします。
  • 事前の調整
    同席の有無や、支援員にどのタイミングで発言を求めるかなど、面接の進行ルールを事前に定めておくことで、スムーズな選考が可能になります。

採用基準とのミスマッチを防ぐ実践的な方法

💡Point
・面接時の「見繕い」を見抜く難しさを認識する
・職場実習を通じた実際の業務適性の確認が有効
・支援機関からの情報を採用判断に組み込む

面接の短い時間だけで見極める実務上のハードル

障害者雇用の選考において、数回の面接だけで採用基準を満たしているかを見極めるのは非常に困難です。 応募者も「採用されたい」という心理が働くため、面接の場では無理をして実態よりも良く見せてしまう傾向があります。その結果、「面接時の評価は高かったが、入社後に体調を崩してしまった」「実際の業務になると手順が覚えられなかった」というミスマッチが発生します。

職場実習(インターンシップ)を通じた適性確認

ミスマッチを防ぐ最も効果的な方法は、採用前に数日間から2週間程度の 職場実習(インターンシップ)を実施すること です。

  • 現場環境との相性確認
    実際のオフィスの音や雰囲気、通勤ラッシュの負担などを実体験として確認できます。
  • 業務手順の習得度
    マニュアルの理解度や、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)のタイミングなど、実際の業務を通じた適性を見極められます。
  • 現場従業員の受け入れ準備
    配属予定の現場メンバーも、障害のある方と実際に働く経験を通じて、必要な配慮を具体的にイメージできるようになります。

就労支援機関の支援員からの客観的な情報収集

面接での印象や職場実習の様子に加え、就労移行支援事業所などの 支援員が持つ日常的な訓練データを情報源として活用 します。

  • 遅刻や欠勤の頻度などの通所状況
  • 体調の波の周期
  • ストレスがかかった際の実際の反応と回復までの期間

これらの客観的な情報は、企業側が設定した採用基準を満たしているかを判断するための、極めて精度の高い裏付けとなります。

【Q&A】障害者雇用の採用基準に関するよくある質問

Q. 採用基準のハードルを下げると、現場への負担が増えるのではないでしょうか?

A. 採用基準を下げるのではなく、「評価の軸を変える」ことが重要です。求める業務スキルを限定的(例:データ入力のみ、書類整理のみなど)に切り出すことでスキルのハードルを下げつつ、「安定して出社できるか」という基準を高く保てば、結果的に現場の工数削減につながります。

Q. 面接で障害に関する踏み込んだ質問をしても問題ありませんか?

A. 「業務を遂行する上でどのような配慮が必要か」を確認する目的であれば問題ありません。ただし、病名や症状の根源を医学的な興味で追及するような質問は控え、あくまで「就労にあたっての事実確認と環境調整」を目的としたヒアリングに留めることが大切です。詳細なNG質問の例については、関連記事をご確認ください。

自社に合った採用基準の策定と専門機関の活用

障害者雇用の体制構築から定着までを包括的に支援するサービス「かべなし」としては、採用基準の策定と見極めにおいて自社のみで完結させることのリスクを提唱しています。

自社完結の採用には限界もある

すでに障害者雇用のノウハウが蓄積されており、特例子会社の設立や完全な受け入れ体制が確立している大企業であれば、独自の採用基準で運用することが可能です。 しかし多くの企業にとっては、面接のみでの見極めや、現場の業務切り出しを人事部のみで行うことは実務上のハードルが高くミスマッチによる歩留まりの悪化を招きやすいのが現実です。

採用から定着までを伴走する「かべなし求人ナビ」の活用

大多数の企業にとって、障害者雇用を成功させるためには、専門的な知見を持つ外部機関との連携が現実的な選択肢となります。

「かべなし求人ナビ」では、以下のステップで企業の課題解決をワンストップで伴走支援します。

  • STEP1(体制構築):
    現場の業務ヒアリングを通じた業務の切り出し提案と、自社に最適な採用基準の策定・環境整備
  • STEP2(採用支援):
    採用基準に合致する就労移行支援事業所からの求職者紹介、面接設定、面接同行による見極めのサポート
  • STEP3(定着支援):
    入社後の定期的な面談の実施、現場で発生した定着課題の早期発見と解決に向けた介入

採用基準の策定にお悩みのご担当者様は、自社のリソースを最適化し、安定した法定雇用率の算定を実現するために、ぜひ「かべなし求人ナビ」の伴走支援をご活用ください。

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※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。
かべなしメディア編集部
この記事の監修者
かべなしメディア編集部 株式会社エス・エム・エス

就労移行支援事業所の管理者経験者監修のもと、正しい法令知識と採用・定着などの実務に役立つ情報を発信中です。企業と障害のある方をつなぐ立ち位置で、双方がWin-Winとなる情報提供を心がけています。