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障害者雇用の面接で聞いてはいけないこととは?NG質問と安全な言い換え例

公開日: 更新日:
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障害者雇用の面接で聞いてはいけないこととは?NG質問と安全な言い換え例

障害者雇用の面接において、一般枠と同じ感覚で質問をしてしまい、コンプライアンス違反にならないか不安を抱える人事担当者は少なくありません。 この記事では、面接におけるNG質問の法的基準と、実務で使える「安全な言い換え例」を解説します。正しい知識とトークスクリプトを用意すれば、コンプライアンスリスクを回避しつつ、現場が求める配慮事項を的確に把握することが可能です。ぜひ参考にしてください。

💡この記事でわかること
・面接で聞いてはいけない質問には法的な基準がある
・コンプライアンスを守りつつ配慮事項を引き出す「言い換え」のコツ
・応募者に安心感を与え、面接辞退の確率を減らす方法
・ミスマッチを防ぐには「専門家による採用支援」という手も

障害者雇用の面接にNG質問が存在する法的な背景

障害者雇用に限らずですが、面接におけるNG質問とは、職業安定法や個人情報保護法に抵触する業務外の質問を指します。

職業安定法に基づく公正な採用選考の原則

面接では、業務遂行に関係のない事項を聞き出してはいけません。これは厚生労働省の「公正な採用選考の基本」における以下の2つの原則に反し、就職差別につながる恐れがあるためです。

  • 応募者の基本的人権を尊重すること
  • 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと

障害者雇用では、自社の受け入れ体制に不安があるゆえに、業務の適性や能力以外のプライバシーに踏み込んでしまうケースが散見されます。そのため、面接官に対する事前の要件定義とレクチャーが不可欠です。

個人情報保護法における要配慮個人情報の取り扱いルール

障害の事実や病歴に関する情報は、個人情報保護法において「要配慮個人情報」に該当します。そのため、面接の場で不意に病歴を深掘りするような質問は、法に抵触するリスクがあります。取り扱いには以下のルールを厳守する必要があります。

  • 原則として事前の同意が必要
  • 利用目的の特定し明示しておく
    (例:業務上の配慮事項を確認するため)
  • 第三者提供の制限
    (無関係の部署への情報提供の禁止)

一般枠の面接との違いは、プライバシー侵害によるコンプラ違反リスクの高さ

障害者雇用の面接担当者は、実務において以下のようなジレンマに直面しがちです。

  • 現場からの要望:
    「受け入れのために、どんな配慮が必要か細かく聞いてほしい」
  • コンプラの壁:
    「プライバシー侵害にあたる質問は避けなければならない」

配慮事項の確認は、入社後のミスマッチを防ぎ定着率を高めるため必須のプロセスです。しかし聞き方を誤ればコンプライアンス違反となります。

この板挟みを解消するには、面接官個人のスキルに頼るのではなく、組織として「聞いてよいこと・いけないこと」の境界線を引き、具体的なトークスクリプトを準備する体制構築が必要です。

【一覧表】面接で聞いてはいけないNG質問の具体例

厚生労働省の指針に基づき、面接で把握してはいけないNG質問と、その安全な言い換え例を一覧表でまとめました。詳しい解説と合わせて読み進めてみてください。

質問ジャンル 具体的な項目 NG質問例 安全な言い換え例
本人に責任のない事項 出生地・本籍 「お生まれはどちらですか?」「ご実家はどのあたりですか?」 「通勤時間や経路に無理はありませんか?」
家族の職業・収入 「ご両親の職業は何ですか?」「ご家族の収入で生活できていますか?」 「体調面等でご家族からのサポートを得られる環境でしょうか?」
住宅状況・資産 「ご自宅は一軒家ですか?」「間取りはどのくらいですか?」 「在宅勤務を行うにあたり、業務に集中できる環境は整っていますか?」
本来自由であるべき事項 宗教・支持政党 「どのような宗教を信仰していますか?」「どの政党を支持していますか?」 「業務上、特定の曜日や時間帯に配慮が必要な事項はありますか?」
人生観・生活信条 「尊敬する人物は誰ですか?」「愛読書は何ですか?」 「仕事を進める上で大切にしている価値観は何ですか?」
労働組合など 「労働組合の活動に参加したことはありますか?」 「チームで意見が対立した際、これまでどのように対応してきましたか?」
均等法等に抵触する事項 結婚・交際・出産 「結婚や出産の予定はありますか?」「お付き合いしている方はいますか?」 「長期的な視点で、当社でどのようなキャリアを築いていきたいですか?」
育児・家庭環境 「残業になった場合、子どものお迎えはどうしますか?」 「月に〇時間程度の残業が発生する場合がありますが、対応は可能ですか?」
過去の病歴・生い立ち 発症経緯・トラウマ 「どのような経緯でそのご病気になったのですか?」 「安全に業務を進めていただくために、どのような配慮やサポートが必要でしょうか?」

出生地や家族の職業など本人に責任のない事項

応募者本人の努力や意思で変えられない事柄についての質問は、厳格に禁止されています。

具体的な項目 NG質問例 安全な言い換え例
本籍や出生地 「お生まれはどちらですか」「ご実家はどのあたりですか」 「通勤時間や経路に無理はありませんか?」
家族の職業や収入 「ご両親の職業は何ですか」「ご家族の収入で生活できていますか」 「体調面等でご家族からのサポートを得られる環境でしょうか?」
住宅状況や間取り 「ご自宅は一軒家ですかそれとも賃貸ですか」「間取りはどのくらいですか」 「在宅勤務を行うにあたり、業務に集中できる環境は整っていますか?」

障害者雇用においては、通勤の安全性や生活の安定性を確認したいという意図から、無意識に聞いてしまうケースがあるため注意が必要です。

宗教や支持政党など本来自由であるべき事項

個人の思想や信条に関する事項は、業務の適性や能力評価と無関係であるため、ヒアリング対象外です。

具体的な項目 NG質問例 安全な言い換え例
宗教・支持政党 「どのような宗教を信仰していますか」「どの政党を支持していますか」 「業務上、特定の曜日や時間帯に配慮が必要な事項はありますか?」
人生観や生活信条 「尊敬する人物は誰ですか」(思想を問う意図がある場合) 「仕事を進める上で大切にしている価値観は何ですか?」
労働組合など 「労働組合の活動に参加したことはありますか」 「チームで意見が対立した際、これまでどのように対応してきましたか?」

一般枠の面接でも同様ですが、雑談やアイスブレイクのつもりで触れてしまわないよう、面接官全体で認識を統一しましょう。

結婚や出産など男女雇用機会均等法に抵触する事項

性別によって役割を固定化する質問や、ライフプランに関する過度な質問も控えてください。

具体的な項目 NG質問例 安全な言い換え例
結婚や交際 「結婚のご予定はありますか」「お付き合いしている方はいますか」 「長期的な視点で、当社でどのようなキャリアを築いていきたいですか?」
出産や育児 「子どもを産む予定はありますか」「残業になった場合、子どものお迎えはどうしますか」 「月に〇時間程度の残業が発生する場合がありますが、対応は可能ですか?」

入社後の長期的なリソース確保を想定して尋ねたくなる場面もありますが、就業に関する適性評価の基準にはなりません。

過去の病歴や障害の生い立ちに対する過度な深掘り

過去の原因やトラウマにフォーカスして深掘りすることは避けてください。これは障害者雇用の面接で最も発生しやすいリスクです。業務上の配慮を提供するためではなく、単なる興味や「すべて把握しておきたい」という理由で過去を聞き出すことは不適切です。

具体的な項目 NG質問例 安全な言い換え例
発症経緯・トラウマ 「どのような経緯でそのご病気になったのですか?」 「安全に業務を進めていただくために、どのような配慮やサポートが必要でしょうか?」
担当者

過去の実務支援において、面接官が「具体的にどのような出来事がきっかけで精神疾患を発症したのか」「その時ご家族はどう対応したのか」と過度に深掘りしてしまったケースがあります。
面接官は「ストレス耐性を測るため」という意図でしたが、応募者にとっては過去のトラウマのフラッシュバックにつながり、面接途中で体調を崩し退席となってしまいました。
結果的に支援機関からのクレームに発展し、企業の採用ブランドに傷がつきました。現在の業務遂行に必要な状態ではなく、過去の原因にフォーカスすることは極めて危険です。

【実務に役立つ】NG質問から安全な質問への言い換え例

コンプライアンスを守りつつ、必要な配慮事項を安全に引き出すための具体的な言い換え例を紹介します。

「なぜその障害になったのか」ではなく「業務上どのような配慮が必要か」

過去の原因(Why)ではなく、未来の業務遂行に向けた対策(What・How)を聞くスタンスへ転換しましょう。

  • NG:どのような経緯でそのご病気になったのですか
  • OK:当社で安全に業務を進めていただくために、どのような配慮やサポートが必要でしょうか

これにより、現場での受け入れ体制構築必要な事実だけを抽出できます。

「通院はいつしているか」ではなく「定期的に通院等で調整が必要な曜日はあるか」

病状の詳細やプライバシーに踏み込むのではなく、勤怠管理やシフト調整という「働く上での要件」としてヒアリングします。

  • NG:現在どのくらいの頻度で何科に通院していますか
  • OK:シフトや勤務時間を作成するにあたり、定期的な通院等で事前にお休みや早退の調整が必要な曜日はございますか

「親の職業は」ではなく「就労にあたりご家族からのサポート体制はあるか」

家族の職業や収入を問うのは法律違反ですが、安定就労のための生活基盤(サポート体制)の有無を確認することは、歩留まりを測るうえで重要かつ適切な質問です。

  • NG:ご両親は何のお仕事をされていますか、同居ですか
  • OK:安定して長くご就業いただくために、体調面などでご家族や支援機関からのサポートを得られる環境でしょうか

質問内容以外で面接官が注意すべき環境面やコミュニケーション面の配慮

面接の質を高め、応募者の辞退を防ぐためには、質問内容だけでなく面接環境やコミュニケーションの設計も重要です。

応募者に安心感を与える言葉遣いと心構え

障害のある方は、過去の就労経験から面接に対して強い不安を抱いているケースが少なくありません。以下の点に注意し、安心感を与えましょう。

  • フラットな呼称
    「障害者スタッフ」と区別するような呼び方ではなく、「障害のある方」「〇〇さん」とフラットに接する。
  • 普通という言葉を避ける
    「普通は〜ですよね」という表現は多様性を否定するニュアンスを含みかねないため控える。
  • 傾聴の姿勢
    結論を急がせず、応募者のペースに合わせて話を聞き、本音を引き出す。

車椅子の導線や手話通訳など事前の合理的配慮の確認

面接日当日のトラブルを防ぐため、事前の環境整備が不可欠です。

  • 物理的アクセスの確保
    車椅子を利用される場合、段差のないルートや多目的トイレの場所を事前に案内する。
  • 情報保障の提供
    聴覚障害がある場合、手話通訳者の手配やPCを利用した要約筆記、筆談ボードの準備を行う。

面接案内の段階で「面接にあたり配慮が必要な事項はございますか」と一言添えるだけで、企業の受け入れ姿勢が伝わり採用ブランドの向上につながります。

就労移行支援などの担当者の同席許可と情報共有

就労移行支援事業所などを利用している応募者の場合、支援員の面接同席を許可することが効果的です。

見知った支援員が同席することで応募者の緊張が緩和され、本来の適性を把握しやすくなります。また、応募者本人が言語化しきれない障害特性や得意不得意について、支援員から客観的な補足説明を受けることができます。

トリッキーな質問や圧迫面接の回避

ストレス耐性を測る目的であえて厳しい質問を投げかける「圧迫面接」は、障害者雇用においては百害あって一利なしです。応募者がパニックを引き起こし、本来の適性を見極められなくなります。常に一問一答の明確なコミュニケーションを心がけてください。

なお、面接で確認すべき具体的な採用基準や評価軸については、障害者雇用の採用基準に関する記事を参照してください。

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障害者雇用の面接に関するQ&A

Q. 応募者から配慮事項について「特にありません」と言われた場合はどうすればよいですか。

A. その場は深追いせず受け入れます。ただし、選考プロセスの中で体験入社や職場実習を実施し、実際の業務を通じた課題や必要なサポートを双方向で確認する機会を設けることが実務上有効です。

Q. 障害枠の面接は、一般枠と同じ面接官が実施しても問題ないでしょうか。

A. 実施自体は問題ありませんが、一般枠と同じ評価基準や質問項目を用いるとミスマッチのリスクが高まります。必ず事前に障害特性やNG質問に関するレクチャーを行い、面接の要件定義をすり合わせておく必要があります。

コンプライアンスを守った安全な面接と専門機関の活用

限られた時間でコンプライアンスを守り本音を引き出す実務上のハードル

障害者雇用の面接において、NG質問を避けつつ現場が必要とする配慮事項を的確に引き出すことは容易ではありません。兼任の人事担当者や初めて障害者を受け入れる現場責任者だけで面接を完遂しようとすると、コンプライアンス違反のリスクや、ミスマッチによる早期離職を招く高いハードルが存在します。

面接同席もサポートする「かべなし求人ナビ」の伴走支援

障害者雇用の体制構築から採用、定着までを包括的に支援するサービス「かべなし」としては、専門知識を持つ外部機関の活用ひとつの現実的な解決策として提案します。

特例子会社の設立や完全自社採用で成功している企業も存在しますが、最初からその水準を目指すのは困難です。「かべなし求人ナビ」のワンストップ伴走支援では、以下のステップで面接のコンプライアンス不安とミスマッチを解決します。

  • STEP1 体制構築
    現場の業務をヒアリングし、面接で「確認すべき必須項目」と「聞いてはいけない項目」をロジカルに要件定義します。
  • STEP2 採用支援
    求職者のご紹介にとどまらず、専門スタッフが面接に同行します。企業側が直接聞きにくい配慮事項の確認を安全にサポートします。
  • STEP3 定着支援
    面接ですり合わせた配慮事項が現場で運用されているか入社後も定期面談を実施し、長期的な定着に貢献します。

専門家の伴走を取り入れることで人事担当者の心理的負荷と工数を削減し、安全かつ確実な障害者雇用の実現に向けて前進してみてはいかがでしょうか。

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※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。
かべなしメディア編集部
この記事の監修者
かべなしメディア編集部 株式会社エス・エム・エス

就労移行支援事業所の管理者経験者監修のもと、正しい法令知識と採用・定着などの実務に役立つ情報を発信中です。企業と障害のある方をつなぐ立ち位置で、双方がWin-Winとなる情報提供を心がけています。