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障害者雇用の業務切り出しとは?失敗しない手順と実例・相談先を解説

公開日: 更新日:
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障害者雇用の業務切り出しとは?失敗しない手順と実例・相談先を解説

障害者雇用を進めたいが、現場から「まかせる業務がない」と言われた人事担当の方は多いのではないでしょうか。 本記事では、既存業務の棚卸しから障害特性に合わせたタスクの細分化まで、失敗しない業務切り出しの具体的な手順とポイントを解説します。 現場の反発を抑え、定着を見据えた体制構築のヒントを、自社リソースでの対応が難しい場合の解決策も踏まえて提示します。ぜひご一読ください。

💡この記事でわかること
・現場から「任せる業務がない」と反発される根本原因と説得の糸口
・兼任担当者でも進めやすい、失敗しない業務切り出しの3ステップと具体例
・社内リソースの限界を補い、採用後の定着までを見据えた体制構築の方法

業務切り出しの定義と「まかせる業務がない」状況が発生する理由

障害者雇用における業務切り出しとは、既存の業務を要素分解し、障害特性に応じたタスクとして再構築することです。 業務切り出しのノウハウに触れる前に、まずは企業が「障害のある方にまかせる業務がない」状態となる理由について整理します。ここを紐解くことが、現場の協力を得るための第一歩となります。

現場のニーズと乖離した「法定雇用率達成」の目的化

障害者雇用において業務の創出が難航する要因のひとつに、法定雇用率の達成が業務の効率化ではなく、数値上の目的化している背景があります。

  • 法定雇用率は上がり続けている
    民間企業の法定雇用率は、2024年4月に2.5%、2026年7月には2.7%へと段階的に引き上げられます。
  • 法定雇用率を達成している企業は半数以下
    厚生労働省の「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業の障害者雇用数は約70万人と過去最高を更新する一方、法定雇用率達成企業の割合は前年同様の46.0%に留まっています。

参考:厚生労働省|令和7年 障害者雇用状況の集計結果

数値目標の達成だけが先行すると、現場の業務課題と切り離された採用活動となり、「採用したものの任せる業務がない」という状況に陥りがちです。 ※障害者雇用全般の課題や解決策については、親記事を参照してください。

こちらの記事も読まれています「障害者雇用 課題」に関する記事

「精神障害=単純作業」という思い込みによるミスマッチ

障害の特性に対する社内の理解不足も、業務の切り出しを阻害する要因です。 特性による得意・不得意はあくまでも傾向であり、最終的には雇用される側の障害のある方本人との対話をベースに業務を切り出していく柔軟性が大切です。

  • 障害種別による思い込み
    「精神障害=単純作業しかできない」といったステレオタイプな認識が、業務の選択肢を狭めます。
  • 当事者のスキルとの乖離
    本人の実務スキルを適切にアセスメントせず、過小評価した業務のみを切り出すと、やりがいの喪失につながります。
担当者

ある企業では、精神障害のある方を事務職で採用した際、「過度なストレスをかけてはいけない」という人事の判断で、簡単なデータ入力とシュレッダー作業のみを任せました。しかし、ご本人はExcelのマクロを組める高いPCスキルを持っており、業務への物足りなさからモチベーションが低下。結果として半年で早期離職を招くミスマッチとなってしまいました。

過度な配慮と教える工数の不足による業務の囲い込み

現場の担当者が良かれと思って行う下記のような配慮や、リソース不足・マニュアルがないなどの業務の棚卸し不足が要因となるケースも少なくありません。

  • 過剰な気遣い
    「無理をさせて体調を崩させてはいけない」と現場が気を使いすぎた結果、新たな業務を振りにくくなります。
  • 属人的な業務の棚卸し不足
    マニュアル化されていない属人的な業務の多さから、イチから教える余裕がない状況で既存社員が業務を抱え込んでしまうこともあります。

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現場の反発を抑え、業務切り出しを進める3つの手順

業務の切り出しを進めるにあたって、現場との連携は欠かせません。なるべく負荷を減らして業務を切り出す3ステップを以下で解説します。

手順1. 各部署の業務を棚卸しするヒアリング

まずは、各部署に点在する業務を洗い出します。多忙な現場に負担をかけないよう、以下の項目に絞ってヒアリングを行い、業務をリスト化します。

  • 業務の名称と目的
    何のために行う作業か
  • 発生頻度と所要時間
    毎日、月末のみなど
  • 作業の難易度
    専門知識が必要か、定型化されているか
  • マニュアルの有無
    手順書が整備されているか
  • 現在の担当者の課題
    時間がかかって負担になっている作業は何か

手順2. 障害特性に応じたタスクの細分化と一覧化

洗い出した業務を要素分解し、障害のある方が担えるタスクへと再構築します。そのタスクをシートなどを活用して一覧化することで、特性に合わせた業務の割り振りが行えるようになります。

  • ひとつの業務をタスクレベルに細分化
    「会議の準備」であれば、「資料の印刷」「ホチキス留め」「会議室のセッティング」に分けます。
  • タスクの一覧化・可視化
    細分化したタスクを難易度、必要な配慮、優先度などの項目で一覧表を作り、可視化します。
  • 特性とタスクのマッチング表を作る
    視覚優位(テキスト指示が得意)か、聴覚優位(口頭説明が得意)かなど、特性に合わせてタスクを割り当てます。

手順3. 属人化を防ぐマニュアル作成とサポート体制の構築

業務を実行し、定着させるための環境を整えます。「環境」とは、たとえば「集中できる環境を作る」などの外的な要因だけでなく、指示系統の統一も含みます。

  • 視覚的なマニュアルの作成
    文字だけでなく、写真や図解を用いた手順書を作成しておくと、多様な特性に対応しやすいマニュアルとなります。
  • 指示系統の統一
    誰に質問・報告すればよいか(キーパーソン)を明確にします。雇用された方が誰に相談すればいいのか迷わない・抱え込まないような配慮が肝要です。
  • 定期的な振り返り
    担当者と頻度を決め、業務量や疲労度を確認する面談の仕組みを構築します。心理的安全性の確保を面談担当者はコロコロ変えず、なるべくひとりの人が行うようにしましょう。

初めから自社リソースのみで実行するのは難しい

手順はシンプルですが、これを自社のみで実行するのは容易ではありません。実際に障害者雇用を進めるとなると、業務の切り出し以外にも他部門との連携に関する調整コストや障害者雇用そのものに対しての啓蒙活動などが通常業務にプラスオンされます。

  • 他部門・部署との調整コストは膨大
    ヒアリング項目を整えた上で多忙な現場部門と日程調整をし、ヒアリングに協力してもらうのは容易ではありません。
  • 特性と業務のマッチングには専門知識が必要
    どの業務がどの特性に適しているかを見極めるには、一定の専門知識が求められます。

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障害者が担当しやすく、現場の工数削減につながる業務例

社内で業務を創出する際、着手しやすい具体的な業務例を分類して紹介します。現場の「助かる」を引き出すことがポイントです。

データ入力・事務補助などのマニュアル化しやすい定型業務

手順が固定化されており、判断が伴わない業務は切り出しの基本です。

  • データ入力
    名刺情報、アンケート結果、経費精算データの入力
  • 書類作成補助
    定型フォーマットへの転記、契約書の製本
  • WEB作業
    サイトの目視チェック、競合情報のリスト化

備品管理・データ整理などの社内で後回しになりがちな業務

重要だが緊急性が低く、既存社員が手をつけられていない業務を探します。

  • 環境整備
    備品・消耗品の在庫管理と発注、カタログの整理
  • データ整理
    過去の紙資料のPDF化(スキャン)、名刺のデータ化
  • 社内インフラ
    社内郵便物の仕分け・配布、会議室の清掃・消毒

清掃・発送業務などの外部委託業務の内製化

現在アウトソーシングしている業務を社内に戻すことで、コスト削減と業務創出を両立させます。

  • 清掃業務
    オフィス内、共有スペースの清掃
  • 発送業務
    DMの封入・封緘、ノベルティの発送手配

【比較表】領域別 切り出し候補の業務特徴

比較項目 コア業務からの切り出し 総務業務からの切り出し
主な業務例 データ入力、書類整理、備品管理 清掃、DM発送、名刺入力代行
業務の特徴 現場で既存社員と共に働ける
チームプレイや報連相が必要な場合が多い
コミュニケーションが少なく済む
自分のペースで進められる
メリット 既存社員の業務負荷軽減 外注していた場合はコストが即削減できる
デメリット 現場へのヒアリングと調整が必要 常に発生する業務か検討が必要

業務切り出し後のミスマッチを防ぐ注意点

運用フェーズにおいて、定着率を高めるためのポイントです。

企業都合ではなく、本人の適性と強み(ストレングス)から業務を創出する

企業側の一方的な都合だけで業務を切り出すのではなく、本人の強みに着目します。

  • 得意分野の把握
    面接や実習を通じて、PC作業が得意か、黙々とした反復作業が好きかを確認します。
  • 強みからの業務創出
    例えば、デザインソフトが使える方に、社内報の作成や簡単なバナー作成を任せるなど、既存業務の枠を超えたアサインも検討します。

勝手な思い込みで業務範囲を限定せず、キャリアパスを用意する

障害があるからといって、難易度の低い業務だけに限定する必要はありません。以下のような形で打診することで、本人のやる気を引き出し、事業貢献度も上がるようアプローチできます。

  • 段階的なステップアップ
    初めは定型業務からスタートし、習熟度に合わせて徐々に判断を伴う業務へと幅を広げます。
  • キャリアパスの提示
    業務の習熟が評価や処遇につながる仕組みを整えることで、モチベーションの向上を図ります。

切り出し後の定期面談(1on1)による継続的な定着支援

業務を任せて終わりではなく、継続的なサポート体制が不可欠です。

  • 1on1の実施
    週に1回程度の短い面談を設け、体調や業務の負荷を確認します。
  • SOSの出し方
    チャットツールを活用するなど、対面での口頭報告が苦手な方でも相談しやすい仕組みを作ります。

【実例紹介】障害者雇用の壁を越え、業務創出・定着に成功した企業事例

業界や規模の異なる企業が、どのように業務を創出し、定着につなげたのかを紹介します。

【事例1】「自己理解シート」で現場の不安を払拭したIT企業

事務業務を中心に業務を切り出していた大手IT企業が、専門性の高いエンジニア部門への採用を拡大した際の事例です。

  • 取り組み
    「何を任せれば良いか分からない」という現場の懸念に対し、入社前に本人と人事担当者が「自身の特性や必要な配慮」をまとめた『自己理解シート』を作成。
  • 成果
    配属前に現場と事前の目線合わせを徹底することで、指示の出し方が明確になり、高いパフォーマンスと定着率を実現。

より詳しい現場の工夫については、以下の導入事例をご覧ください。 こちらの記事も読まれていますAKKODiSコンサルティング株式会社様の事例

【事例2】生成AIの活用で200超の定常業務を創出した成長企業

「どう接していいか分からない」「まかせる仕事がない」というノウハウゼロの状態から障害者雇用をスタートしたIT企業です。

  • 取り組み
    業務を切り出すためのツールとして「生成AI」を積極的に導入。
  • 成果
    社内の各部署から200を超える定常業務の切り出しに成功し、約9割という極めて高い定着率を維持。

AIを活用した業務創出の事例はこちら こちらの記事も読まれています株式会社SHIFT様の事例

障害者雇用と業務切り出しに関するよくある質問

Q. 業務の切り出しは、社内のどの部署から始めるのがスムーズですか?

A. 障害者雇用への理解が比較的得られやすい部署や、定型業務が多く慢性的なリソース不足を抱えている管理部門(総務、経理、人事など)から小さく始めることを推奨します。成功事例を作ることで、他部署への横展開がしやすくなります。

Q. 切り出した業務が完了し、すぐに任せる仕事がなくなってしまう場合はどうすればよいですか?

A. 当初想定した定型業務だけでなく、ご本人の適性や習熟度を見ながら、段階的に業務幅を広げていく「キャリアパスの設計」が必要です。また、社内全体に「切り出せる業務はないか」を定期的にアンケート等で募集する仕組みづくりも有効です。

自社のみでの業務切り出しに限界を感じた際の相談先

社内調整や業務の創出が行き詰まった場合は、外部の専門機関への相談が有効です。

ハローワークや地域障害者職業センターなどの公的機関

  • ハローワーク
    障害者専門の窓口があり、求人票の作成から採用まで無料で相談に乗ってくれます。
  • 地域障害者職業センター
    業務の選定や、ジョブコーチ(職場適応援助者)の派遣など、専門的な実務アドバイスを受けることができます。

民間就労支援機関(就労移行支援事業所など)

  • 就労移行支援事業所
    就労を目指す障害のある方が通う施設です。事業所と連携することで、実習の受け入れや、特性を理解した上での採用マッチングが可能になります。

採用から定着まで一貫してサポートする専門の支援サービス

  • 民間エージェント・コンサルティング
    企業の課題に合わせ、業務の切り出し提案、求める要件の整理、候補者の紹介、入社後の定着面談までをワンストップで支援するサービスです。

外部の専門機関と連携し、確実な採用・定着をめざすには

障害者雇用の体制構築から定着までを包括的に支援するサービス「かべなし」としては、実務の伴走者として外部リソースを活用することが、安定した雇用の近道であると考えます。

自社リソースのみで業務を創出・定着させる実務上のハードル

障害者雇用の専門部署があり、人員体制が潤沢な一部の企業であれば、自社のみで業務の切り出しから定着管理までを行うことは十分に可能です。 しかし、他業務と兼任している人事担当者が多くを抱える大多数の企業にとっては、現場との折衝、適切な業務の創出、マニュアルの整備、さらには採用後の定着フォローまでを自社内で完結させることは、実務上のハードルが極めて高いのが現実ではないでしょうか。

かべなし求人ナビによる「ワンストップ伴走支援」の強み

そのため、業務切り出しの初期段階から外部の専門機関を頼ることは、非常に現実的で有効な手段です。「かべなし求人ナビ」では、単なる人材の紹介にとどまらず、「スキル・キャリア」を重視したマッチングと、企業側の体制構築から定着までを以下の3ステップでワンストップ支援しています。

  • STEP1(体制構築)
    現場業務のヒアリングを通じた業務の切り出し提案、受け入れの環境整備
  • STEP2(採用支援)
    企業のニーズに合致した求職者紹介、面接設定、面接同行
  • STEP3(定着支援)
    入社後の定期面談の実施、現場の定着課題の早期解決

「どのような業務を任せればよいか分からない」「採用しても現場での定着に不安がある」という課題に直面している企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

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※掲載内容はすべて記事公開時点のものです。
かべなしメディア編集部
この記事の監修者
かべなしメディア編集部 株式会社エス・エム・エス

就労移行支援事業所の管理者経験者監修のもと、正しい法令知識と採用・定着などの実務に役立つ情報を発信中です。企業と障害のある方をつなぐ立ち位置で、双方がWin-Winとなる情報提供を心がけています。