発信力のある求職者、求む。エージェント活用で実現した母集団形成と、社内の定着支援とは
株式会社イーピービズ 様
――CRO国内大手が推進する、相互理解を軸にした障がい者雇用
国内CRO、製薬会社から新薬開発の臨床試験(治験)業務を受託・支援する開発業務受託機関の先駆けであるEPSグループ。その特例子会社である株式会社イーピービズは、グループ全体の障がい者雇用を一元管理する事業「HATARAKU LAB.」を展開し、約100名規模の体制で業務運営を行っています。
首都圏および関西・中部エリアでのデスクワーク、オフィスワークやヘルスキーパー、埼玉県熊谷市での直営農園事業など多角的な職域を開発する一方で、現場とのミスマッチや、母集団形成といった「壁」に直面していました。
自社のカルチャーにフィットする人材をどのように確保し、組織に定着させているのか。代表取締役の見取様と、HATARAKU LAB. 事業開発課 課長の鎌田様にお話を伺いました。
| 見取様: | 株式会社イーピービズ 代表取締役 |
|---|---|
| 鎌田様: | 株式会社イーピービズ HATARAKU LAB. 事業開発課長 |
障がい者雇用を「他人事」にしない。直営農園事業を通じた独自の社内広報
まずは、EPSグループの中で、イーピービズ様が障がい者雇用を一元的に担うことになった背景を教えていただけますか。
見取様: EPSグループはこれまで合併・統合を通じて事業を拡大してきた背景があり、以前はグループ各社が個別に障がい者雇用を行っていました。その各社ごとに行われていた取り組みを一度統合し、グループ全体のダイバーシティを推進する拠点として立ち上げたのが、イーピービズ内の特例子会社事業「HATARAKU LAB.」です。
グループ全体を巻き込んでいく上で、運営方針として大切にされているカルチャーはありますか。
見取様: 私たちが何より大切にしているのは、社内における「相互理解」です。障がい者雇用は、現場の社員からするとどうしても「知らないこと」「自分には関係のない他人事」として扱われがちです。それを防ぐための仕組みづくりに注力しています。
かべなし: 相互理解を深めるために、具体的にはどのようなアプローチをされているのでしょうか。
見取様: 経営層にはテキストで論理的に活動実績を報告する一方で、現場の社員には「目に見える成果物」を通じて活動を知ってもらう工夫をしています。代表的なものが、熊谷で展開している直営農園事業で作られた野菜ですね。
かべなし: 農園の野菜が、現場の理解促進に繋がるのですか。
見取様: はい。収穫した野菜を社員に福利厚生の一環として安価で提供しているのですが、社員がその野菜を手に取り、家庭に持ち帰って「うちの会社にはこういう活動があるんだよ」と話題にしてくれます。日々の生活の中で成果を確認できるサイクルを作ることで、現場レベルでも「一緒に働いている感覚」を醸成しやすい風土を築いています。
「待つ」採用の限界。出向モデルで活躍できる人材の母集団形成という「壁」
社内の受け入れ風土を丁寧に醸成される一方で、採用実務の現場ではどのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
鎌田様: 一番のハードルは「母集団形成」でした。私たちの業務モデルの中には、特例子会社内に留まらず、グループ各社の現場に出向してサポートを行う業務も多くあります。そのため、単なるPCスキルや作業スキル以上に「自分の意思や体調をしっかりと発信できるコミュニケーション能力」が現場では不可欠です。
かべなし: そうしたポテンシャルを持った人材の確保において、何が壁になっていたのですか。
鎌田様: 以前は支援機関様からのご紹介を中心としていましたが、この「出向モデルで活躍できる発信力」という特定の要件にマッチする方と、必要なタイミングで出会うのが難しいという課題がありました。 そこで、自社のカルチャーや求める人物像を深く理解した上で、市場から能動的に候補者を探し出して提案してくれるエージェントの力が必要だと判断したのです。
「安定した出勤」を最優先に。かべなしによる目線合わせと体制構築
その課題解決のために外部エージェントである「かべなし」をご利用いただきましたが、採用要件はどのようにすり合わせていったのでしょうか。
鎌田様: 私たちが採用において絶対に外せない基準として掲げていたのが、「安定した出勤と勤怠」です。昨今は在宅勤務という選択肢もありますが、私たちはまず「出社して、周囲に真摯に業務に取り組む姿を見せてもらうこと」をスタートラインに置いています。
かべなし: スキルよりも、まずは出勤して現場との信頼関係を築くことを重視されたのですね。
鎌田様: はい。スキルは後からでも身につきますから、未経験であっても人柄が良く、向上心を持った方を求めていました。かべなしさんは、この私たちの求める「人物像」にしっかりと目線を合わせ、要件を整理してくれました。
かべなし: 単なる条件のマッチングではなく、イーピービズ様ならではのカルチャーフィットを重視したご提案をさせていただきました。
鎌田様: そこが非常に助かりました。自社のカルチャーとの親和性が高い、新たな母集団を形成していただいたことで、結果的に私たちが本当に求めていた2名の方を採用することができました。
3年で26名採用、離職3名。高い定着率を支える社内セーフティネット
かべなしからご紹介し、実際に入社された方々のご様子はいかがでしょうか?
見取様: 未経験枠での採用でしたが、お2人とも高いポテンシャルと向上心を持ってらっしゃいますね。定着状況も非常に良好です。 実際、弊社はこの3年間で合計26名を採用しましたが、退職された方はわずか3名。この高い定着率の背景には、マッチングの精度だけでなく、私たちが大切にしている「社内セーフティネット」の存在があると考えています。
かべなし: 社内セーフティネット、と言いますと?
見取様: 障がい者メンバーには、「もし出向先でアンマッチを感じたり、業務が難しいと思ったりした時は、いつでもここ(イーピービズ)に戻ってきていいですよ」と伝えています。戻ることは決して悪いことではなく、「次のチャンスを一緒に探そう」というスタンスです。
この「いつでも戻れる場所がある」という心理的な安全性が、メンバーが自信を持って現場へ踏み出す勇気になっているのだと感じます。
受け入れ先の既存社員の方々へは、どのような影響がありましたか?
見取様: メンバーがサポート業務に入ってくれることで、既存社員が本来のコア業務に集中でき、チーム全体の業務効率が上がるというポジティブな変化が生まれています。周囲の社員からも「大切な仲間」として正当な評価を受けていますね。
今後の展望と、悩める他社人事へのメッセージ
最後に、イーピービズ様の今後の展望と、障がい者雇用に悩む他社の人事担当者様へメッセージをお願いします。
見取様: 現在イーピービズは、各グループ会社から業務を創出し、その対価を受け取るというモデルで運営しています。そのため今後も「しっかりと出勤し、現場で評価される実績」をさらに積み重ねることで、グループ内での横のつながりを広げ、新しい雇用の場を生み出していきたいと考えています。
障がい者雇用を進める上で、私たちが特に重要と考えているのは「あなたは何がしたいですか?」という問いに答えられる、目的意識を持った方とのマッチングです。
自社のカルチャーや「譲れない基準」を明確にし、専門的な知見を持つパートナーと連携しながら採用体制を構築していくことが、結果として中長期的な組織の成長に繋がっていくと信じています。