「一緒に働きやすい」と言われるエンジニア組織へ。4,000名増の壁を越えた障がい者雇用とは
AKKODiSコンサルティング株式会社 様
約7,000名の社員を擁し、現場変革の力とデジタル技術により企業の生産性向上とAIトランスフォーメーションの実現を支援するAKKODiSコンサルティング株式会社。
同社は2005年に特例子会社を設立し、グループ全体で障がい者雇用の知見を蓄積してきました。しかし、2022年にグループ会社から事業移管が行われたことに伴い社員数が急増。それを機に、特例子会社での事務業務を中心とした雇用から、本社における「エンジニア採用」を推進する新たなプロジェクトが立ち上がりました。
今回は、社内での障がい者雇用へのニーズ開拓の歩みと、現場で実践されている配慮のノウハウについて伺いました。
| 三瓶様: | AKKODiSコンサルティング株式会社 障がい者採用推進グループ グループマネージャー |
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本社ではエンジニア、特例子会社では事務職を採用する2軸体制
まずは、御社の障がい者雇用体制についてお聞かせいただけますでしょうか。
三瓶様:現在、弊社では大きく分けて2つの軸で障がい者雇用を行っています。一つはグループ内の特例子会社での雇用、もう一つが我々本社の推進グループが担うエンジニア採用です。
かべなし:それぞれの役割分担はどのようになっているのでしょうか。
三瓶様:特例子会社には現在約60名近くが在籍しており、Adecco Group各社をサポートする業務を請け負い、グループの成長と共に活躍の場を広げています。そこでの体制は十分に機能しているため、本社側では主力事業であるクライアントの現場で就業するエンジニアの採用に特化しています。
このエンジニア採用プロジェクトは、2021年に立ち上げられたと伺っています。どのような背景があったのでしょうか。
三瓶様:グループ企業からの事業移管により、社員数が5,000名から約9,000名へ急増する、と決定したのが最大の要因です。約4,000名増えるとなると、特例子会社の業務だけでは雇用率をカバーしきれず、本社側でも採用を進めなければならない状況でした。
専門職でもスキルは不問。採用は「自己理解」と「伝えるスキル」を重視
エンジニアという専門職での採用活動は、現場の理解と受け入れ体制が不可欠です。立ち上げ当初の社内開拓はどのように進められたのでしょうか。
三瓶様:私自身、十数年間エンジニアとして現場で就業していた経験が長く、採用業務自体が初めてのチャレンジでした。
そのため、当初は人事採用そのものについての理解を深めつつ、まずは社内人脈をフル活用して、社内ニーズを把握することに徹しました。「どこにでも伺います」というスタンスで各部署を回り、一人ひとりと対話する地道な草の根運動で職域を開拓していきました。
かべなし:その後、全社的に配属先を広げていく過程で、採用要件の定義にも紆余曲折があったと伺っています。
三瓶様:そうですね、当初はハローワーク等も活用して採用活動をスタートしたのですが、やはり事務職希望の方が多く…。エンジニア志望となると、なかなか母集団が形成しづらいという「壁」に直面しました。
そこで、応募時点でのエンジニアとしての技術スキルは問わない方針としたのです。当社では、一般雇用においてもエンジニア未経験者を積極的に採用しており、未経験者向けの充実した研修プログラムがあります。
未経験の方向けには一般雇用と一緒に受ける2ヶ月間の研修体制があるため、技術の習得は入社後でも可能、という判断に至りました。その代わり、一般雇用のエンジニアと同等のラインとして求めている要素があります。
それはどのような要素でしょうか。
三瓶様:「自己理解」や「自己認知の整理」、そして「自分を説明するスキル」です。また、自身の特性に対して「コミュニケーションの工夫」ができるかどうかも非常に重視しています。
特別扱いはせず、対話の中でお互いに折り合いをつけていくこと。これは定着に対するアクションの根幹も成す、大切なマインドセットですね。
エージェントへの期待。内定後の迅速なフォローと経験者とのマッチング
弊社のような人材紹介エージェントに対しては、どのような役割を期待されていますか。
三瓶様: 大きく2点あります。ひとつは、内定を出してからのご本人へのスピーディなフォローです。障がいのある方は内定後も様々な不安を抱えがちですが、そこにエージェントとしてしっかりと入り込み、承諾までスピーディなコミュニケーションで連携していただけることは、採用をスムーズに進める上で非常に心強いです。
かべなし: ありがとうございます。不安に寄り添う細やかなフォローは私たちが最も大切にしている部分です。もう1点はいかがでしょうか。
三瓶様: 即戦力となる経験者エンジニアとのマッチングです。未経験者の採用や育成体制は整ってきましたが、障がい者雇用でエンジニア経験がある方となると、自社だけではなかなか出会えません。
「かべなし」さんが持つIT特化の就労移行支援事業所などとの人脈も活かしながら、経験者層へアプローチしていただくことを強く期待しています。
現場からのポジティブな声を生む、徹底した事前すり合わせ
かべなし:現在、本社で活躍されている障がい者雇用のエンジニアは約8割が精神・発達障がいのある方だそうですね。
専門性の高いエンジニアの現場となると、一般的には「配慮の負担が大きいのでは」と受け入れに慎重になる企業様も多いです。御社では現場の評価はいかがですか?
三瓶様:実は、当初の懸念とは異なり、現場からは「一緒に働きやすい」というポジティブな声が多く上がっているんです。
そこまで現場の理解を得るのはなかなかハードルが高いと思うのですが、どのような環境構築をされたのでしょうか。
三瓶様:鍵となっているのは、入社時の「自己理解の資料化」と徹底した事前のすり合わせです。入社直後にご本人に、自身の特性、必要な配慮事項、自分で行っている対処法などをアウトプットして資料に整理してもらいます。
そして配属前に、ご本人、営業担当、受け入れ部署の担当者、我々推進グループの3〜4名で、その資料をもとに打ち合わせを行うのです。
かべなし: そこで、配慮事項について現場と目線を合わせるのですね。
三瓶様:ここで配慮が「できる・できない」のすり合わせを徹底的に行い、お互いが納得した上で配属を決定しています。
ご本人の特性が明確に言語化されているため、現場としても「こういうコミュニケーションが必要だから、こう対策しよう」と事前に準備ができ、それが「働きやすさ」に直結しています。
なるほど。とはいえ、実際に働き始めてから気づく課題もあるのではないでしょうか。
三瓶様:例えば、発達障がいの方で「同時にタスクを振られた時に優先順位が分からなくなる」という課題が出るケースはありますね。
そうした相談を受けた際は、我々が間に入り、現場に対して「優先順位を明確にして指示してほしい」と再度調整を行います。
かべなし: 現場とご本人の間に、客観的なサポートがスピーディに入る仕組みが機能しているのですね。
三瓶様:ええ。推進グループの担当者が「担当サポーター」として1人あたり10〜20名をフォローし、月1回の1on1面談を継続的に実施しています。
また、仕事をしていく中で「やっぱりこの配慮は必要だった」「これは不要だった」と変わっていくことも多いので、入社後1年以内などのタイミングで定期的に配慮事項の見直しを行い、ブラッシュアップを続けています。
よりハイレベルな採用活動へ。今後の展望と他社へのメッセージ
現在は人員構成も落ち着き、新たなフェーズに入られていると伺いました。今後の展望をお聞かせください。
三瓶様:現在は当時ほど雇用率が切迫した状況ではないため、年内の採用目標は10名以下と少数に設定しています。だからこそ、未経験者の育成と並行して、即戦力となるエンジニア経験者の方の紹介により一層力を入れていきたいと考えています。
かべなし:エージェントとしての我々の腕の見せ所ですね。
最後に、障がい者雇用において体制構築に悩む他社の人事担当者様へメッセージをお願いいたします。
三瓶様: 現場への定着には、月1回の1on1面談や全社的な啓発活動など、地道なフォロー体制が欠かせません。一方で、自社が求める要件を明確にし、採用の入り口で妥協しないことも重要です。
自社だけで抱え込まず、エージェントと密にコミュニケーションを取りながら、自社にマッチする人材を見極めていくことが、結果的に定着と現場の理解促進に繋がると思います。
かべなし: 本日は貴重なお話をありがとうございました。引き続き、御社の求める人材の要件定義と、経験者層へのアプローチを全力でサポートさせていただきます。